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武具ぐるみ!  作者: シハラ
chapter1 人形の目覚め
1/2

ぬいぐるみになったけど案外悪くないかも

誤字脱字感想は随時募集中です。


※12/17 主人公のぬいぐるみの描写を変更しました。



 付喪神というのをご存知だろうか。俺もそこまで詳しい訳では無いので簡単な説明しか出来ないが、付喪神とは古い道具や人形に魂が宿った物の事を指す。

 神の字が付いているがこれは所謂妖怪と呼ばれる物であり、大切にされなかった物達が人間に仕返ししようと悪さをするんだそうだ。まあ大人が子どもに対して物は大事に扱いなさいといったしつけを表しているような物でもあるのかもしれない。


 まあ別に俺が妖怪やらオバケやらを信じているとか古い言い伝えを真面目に守るような性分では無い。それなのに何故こんな話をするのかというと、俺の今の現状がそういった空想で例えないと説明することが出来ないからである。




 それじゃあ、今俺に起こっている状態について話そうか。


 まず最初に体が動かない。感覚も無い。今生きている機能は視覚と聴覚だけだ。普通の人ならこれだけでも発狂してもおかしく無いが、それ以上に今の状況が大変な事になっているので頭が理解の範疇を越えている。


 次に名前が思い出せない。アニメやらゲームやらが好きな日本人男性であったと思っているが確証があるわけでも無い。年齢も不明だ。だが今はそんなことを気にしている場合じゃ無い。これ以上の混乱は避けたいので取り合えず男であると仮定しておこう。


 周りの状況はおそらく朝。窓から朝日がカーテン越しに差し込んでいる。気温が感じられないので季節がわからない。


 そして、体は動かないが、視界は問題無く動かせるので限界まで見渡して得た視覚情報と研ぎ澄ました聴覚情報を以下に記する。


 座っている体勢でまず見えたのは、外国の貴族の家のような綺麗な壁模様と日本の一般人が住むにはあまりにも広い部屋の間取り。対して天井が低いかと思えばこれは天涯付きのベッドであった。これまた一人で寝るにはデカ過ぎるサイズである。


 座っている体勢ならばと自分の下半身に視線を向けると、メイド服を連想させる前掛けに黒のスカート。そして足は一目で布で出来ていることが確認出来た。


 そして一番気になるのが、隣で寝ている少女について。

 一言で言うならば可愛い。それ以外無い。

 髪は日本ではお目にかかれないプラチナブロンド。寝癖が凄いことになってるがセットすればこの可愛らしさが更に磨きが掛かるだろう。



 とまあ、俺なりに今の状況を推理したところ、どっかの異国の屋敷に住む少女のぬいぐるみに憑依してしまったのではないか。と言うのが、前述にある付喪神について触れた成り行きである。


 ………というか、俺が今ぬいぐるみという事にしないと、いたいけな少女のベッドに野郎が不法侵入してるという即御用案件な状況だからぬいぐるみじゃないと俺が困るというか。無論、そんなやましい考えは微塵も無いので心配は無用だぐへへ。




コンコンコンコン ガチャ


 お、誰か入って…………め、メイドさんだと!?いや、こんな金持ちそうな家にメイドさんが居ても何ら不思議では無いな。しかし生のメイドさんに初めてお目にかかれるとは………出来れば人の体でお目にしたかったが、贅沢も言ってられんしな。眼福眼福。


「お嬢様ー。もう起きる時間ですよー。早く起きてくださーい」


「んゅ…………」


 そう言ってカーテンをどんどん開け放つメイドさん。それに対し少女………お嬢様は布団の中に潜っていく。


「ほらほらー、早くしないと怪獣ミルゼがお嬢様を食べちゃいますよーじゅるり」


 と言いながら怪しい笑みと涎を垂らしながらお嬢様の布団を剥ぐメイドさん。この様子じゃ冗談とは思えない。まさかこやつ、同士ゲフンゲフンロリコンか!?


「んん………寒い………」


 寝ぼけながら手探りで何を探しているかと思った矢先、俺(と思われるぬいぐるみ)の脚を掴んだかと思えば視界が大きく動いた。どうやら一瞬の内に俺はお嬢様にホールドされたようだ。


「イオ………暖かい………」


 ぬいぐるみ万歳。お嬢様万歳。幼女万歳。

 ………はっ、俺は一体何を………いやいやそれどころじゃ無いな。今お嬢様がイオと言ったけど、もしやこのぬいぐるみの名前か?まあ何にせよ名前がわからんから好都合だしこれからはイオと名乗る事にしよう。

 ………名乗る機会があればいいが。


「美幼女とモフモフ人形のぬいぐるみの組み合わせ………最高ですわね」


 ぐわぁ!眩しい!やめろこらメイド!こちとら目を瞑れねーんだよ!写真撮るな!連写すな!ぎゃあ!ちょ、やめ、誰か助け、目がああああああああああああああ!!

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