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なろうで筆を置いた日

作者: 足軽三郎

 大体四年半。これが私が小説家になろうで投稿していた期間だ。何でweb小説をやり始めたのか。まずはそこからかな。


 結婚した後、奥さんの勧めでテニスを始めた。でも子供が生まれてから、定期的にスクールに通うことが出来なくなった。そんな時だ。通勤電車の中で小説書いたら、と思ったのは。


 当時いわゆるケータイ小説が流行っており、そういうサイトがあるだろうとは思っていた。検索して調べたら、小説家になろうがあった。

 投稿作品を読むと、うん......異世界転生って何だ。ああ、いわゆるラノベか。ふーん、最近はこういうのが流行りなのかな。


 正直言うと十代の頃に、角川スニーカー文庫などは読んでいた。けど、それだけ。社会人になってからは読んでいない。まあ、暇潰しならいいかくらいの気持ちだった。


 さて、いざ投稿すると、結構楽しい。PVがピョコンと伸びると、ゲームっぽくて楽しい。単純に文字を書くこと自体が楽しかった。


 けれど、それ以上に人間関係が広がったことの方が良かった。

 転機になったのは、あるオフ会に出た時だ。場のしきりを手伝ったりしたので、ずいぶん感謝された。慕われたのが単純に嬉しく、とても楽しかった。


 投稿の方は、連載一作目はエタる。それを反省して、二作目、三作目を完結させた。そこそこの人気くらいだったけど、なろう友達に読んでもらって、それが嬉しかった。


 連載四作目からかな、転機があったのは。とある明治時代を背景とした作品に触発されて、書き始めた。最初ほんとに人気出なくて、うわあと思ったけど、結果的には良作となった。これも完結させた。


 ここで止めておけばよかったんだが。


 この四作目を連載している途中に、ツイッターを始めた。なろうの書籍化作家さんらをフォローすると、面白かった。お話も出来た。何人かとはオフ会で会えた。

 けど、徐々にプレッシャーを感じるようになった。何故か。皆、なろうで書く分には、という条件ではあるけど実績があるから。


 ポイント、逆お気に入りの数、そして書籍化。こういう人達が書いてるんだなって。ちょっとした短編でも、この人達が書けば軽くポイント四桁に乗る。連載なら数万ポイントだ。軽くへこんだ。数字が全てじゃないけど、数字は嘘をつかない。


 だから、実績が欲しくなった。要は高ポイント作品がね。別に書籍化なんてどうでもいいけど、見下ろされてるみたいで癪だし。


 でも出来なかった。初期ブーストが失敗した連載は、速攻削除した。夜中に泣いた。書いてて全然楽しくなかった。なんでかなって。昔は書いてるだけで楽しかったのに。ポイント目当てでしか、書けなくなって。それすら達成出来ない。


 自分が情けなかった。執筆が憂鬱だった。けれどTL見ると他の作家さんが、ばしんばしん高ポイントを叩き出している。なろう格差だなと思った。数字が絶対の世界だと。そういう世界だなと。


 私が書かなくても、彼らが書けば読者は喜ぶ。私なんかいなくていい。何より疲れた。本当にしんどかった。文章を書くことを、これ以上嫌いになりたくなかった。だから筆を置いた。


 本当はもう少し綺麗に終わりたかったけど、これは仕方ないと思う。頑張ったと自分でも思うから。連載完結が三つ、素人なりにまあまあでしょう。




 好きだけでは頑張れない。けれど、好きがなくなったら、やっぱりもう根本的に無理がある。

 四年半、書く方も読む方もやってきて。いろんな方と知り合えて。執筆の楽しさも辛さも味わった。

 いいんだよって。もうボロボロになる前に止めようって、そう決めました。そうしたら気持ちが楽になりました。


 昨日筆置くことを決め、今朝起きてもやはり書きたくありません。疲れたんですね、書くことに。書きたいものもないし。


 私は小説家になろうが好きです。そこで知り合えた方々が好きです。それを嫌いになりたくないから、私は筆を置きます。四年半は長かったなあと振り返りつつ、今は安らかに眠れます。


 ありがとう。

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