92/168
第九十一弾 うーうー
「すごいな。レオナさんが言った通り、辺り一面、小麦畑だ」
「ハァ~、これが小麦畑かぁ~。想像以上に綺麗だなぁ~。僕が育ったラッテ村は、牛の畜産が盛んだったから……小麦とかの作物は、作ってなかったんだぁ~」
生まれ育った故郷に何事も無ければ、俺と一緒に眼前に広がる光景を笑いながら、分かち合えただろう。
ゴブリンに襲われた故郷を想像して、悲しそうなリーネの後頭部を、右手でソッと撫でる。
ほんの一瞬、硬直するが、青の瞳を下に落とし、歩きながら前に進む。
「兄様、そんなに過保護にならなくても、僕は大丈夫だよ?」
「過保護でいいんだよ。リーネは俺の妹なんだから、辛いならいくらでも頼っていいんだぞ?」
リーネは目を糸のように細め、口元をウネウネさせ、「うーうー」唸り始める。
前を進むレオナさんは、こちらをチラみして様子を探るだけで、何も言ってこない。




