青年とオーガ
とても静かな森の中、どさりと木の枝から雪が落ちました。
「……このあたりも、だいぶ融けてきたなぁ」
そこかしこに焼けあとが残る松の森の中を、ステヴァン君は一人歩いていました。
胸くらいまである毛織のケープをはおっていましたが、とんがり頭巾はかぶらず、背中には矢筒も背嚢もなく、角の弓も持ってはいませんでした。
あの日から、またちょっぴり日々が流れました。
ステヴァン君が角の弓を使って見事にオーガを射ぬいた後、兵隊さんたちと一緒に町に戻った彼を待っていたのは、町の人達からの大歓迎でした。
実のところ、あの日ステヴァン君は森へ行く兵隊さんたちの後をこっそりつけていってあの崖までたどり着いたのですが、そんなステヴァン君もまた後をこっそりとつけられていたのです。
つけていたのはいつぞやの、町の若者たちでした。
彼らはステヴァン君のさらに後ろの方から木の影にかくれて一部始終を見ると、それを町の人にすっかり伝えてしまったのです。
突然のことで目を白黒させるしかないステヴァン君に、町の人々は大きな声で、「オーガを討ち取った狩人! わが町の誇り! オーガスレイヤーばんざい!」と口々に叫びました。
かつてステヴァン君をからかったでっぷりしたおじさんや、若者たちもステヴァン君におめでとうと言ってくれました。
酒場のご夫婦も大層喜んでくれました。
特にご主人なんか
「俺の角を弓にしちまうなんて、他の誰も考えつかないことだ! やったなぁステヴァン、貸しを返すにしちゃあ随分としゃれた返し方だよ!」
なんていって大いに笑うのでした。
そうやってたちまち町中がお祭り騒ぎになったので、調子の良い兵隊さんたちも一緒になってお祝いをしました。
その騒ぎっぷりといったら、初めは渋い顔をしていた若大将ですら、とうとう一緒になって乾杯の音頭を取り始めてしまったくらいでした。
それからというもの、兵隊さんたちが都へ帰る日が来るまで、町を挙げてのお祭り騒ぎは一向に終わりませんでした。
三日か四日たつと村の方からも、噂を聞きつけた村長さんたちが町を訪ねてきてステヴァン君の労をねぎらい、「悪いことをしてすまない」と謝ってくれました。
そうしてようやくステヴァン君は村の人々からも許され、村へ戻ることも許されたのですが、これには町長さんが黙っていませんでした。
「ステヴァン・オーガスレイヤーは今や町にとって大事な狩人です。一度村を追いだしておいて今さら戻ってこいだなんてムシが良すぎるのではないですかな?」
そう言って町長さんは、町の郊外にポツリと立っていた一戸建ての誰も住んでいない家とその辺りの土地を、そっくりステヴァン君にくれてやると明言したのでした。
そうすると、今度は若大将も黙っていませんでした。
「なにをいうのです。この狩人は私の隊の義勇兵としてオーガを討ち取ったのです。彼は私と共に都へのぼり、そこで私の右腕として働いてもらいます!」
そう言って若大将は貴族である自分のお父さんに頼んで、ステヴァン君に新しい騎士の紋章を与えてくれるよう取り計らうことを約束して、だから一緒に都へ来るようにと命令したのでした。
さて、こうなると困ったのは我らがステヴァン君です。
お偉いさん方から少しの間考える時間をもらったステヴァン君は、相変わらず酒場の仕事を手伝いながら、時間があると屋根裏部屋へこもって、じっと考えることが多くなりました。
「みんな、僕がオーガをやっつける前までは僕に目もくれなかったのに、今はこうして家や土地、地位や名誉まで与えてくれようとしている。僕はそんなに、すごいことをしたんだろうか?」
ステアヴァン君はそう、ひとりごとを言いました。
町はまだまだ大騒ぎの真っただ中にあるというのに、まるで楽しかったお祭りの後の静けさのような……人と話すことがたまらなく愛おしく思うのに、できればこうしてずっと屋根裏にこもっていたいような……そんな妙に人と会いたくない、けれどどこか寂しい気持ちが、ステヴァン君の中にはありました。
「ううん、こうしてみんなから祝ってもらえるのはとてもうれしいし、貧しい暮らしから抜けられることも、とてもとてもうれしいんだ。
でも、みんなが望んでいるものは、望んでいることは、本当に僕でなくちゃいけないことなのかな。
もしそうでないのなら、これは僕自身がしっかりとけじめをつけなくちゃいけないことだ」
そういって心を決めたステヴァン君は、次の日町長さんの家に行き、広間に集まった村長さん、町長さん、そして若大将に向かって、こういいました。
「僕はどうしたいか心を決めました。
まずは若大将、僕は貧しい農民の子です。こんな僕がいきなり騎士になっても、きっと他の人たちからうとまれ、若大将にも迷惑をかけてしまうでしょう。ですから、一緒に都へ行くことはできません」
「なに、私の言うことが聞けないというのかい?」
「本当にごめんなさい。けれど、オーガをしとめることができたのは、僕の腕が良いからではないのです」
ステヴァン君は角の弓を見せました。
「この弓のおかげで、オーガは倒されました。僕の代わりにこの弓を差し上げますので、都にいる僕よりも腕の良く品の高い射手の方を、この弓の使い手としてください」
「おおっそうか、その弓を渡してくれるのか。これは上々、ならばお前の言うとおりにしよう」
若大将は角の弓を受けとると、とても嬉しそうでした。
「次に村長さん。
村の人たちから許してもらえて、僕は本当に嬉しかった。けれど僕にはもう家族がいません。今までは一人で暮らしてきましたが、やっぱり暮らしは辛いものでした」
「ステヴァン、これからは私たちみんなが家族になる。戻ってきておくれ」
けれど、ステヴァン君は首を横に振りました。
「本当にごめんなさい。恩知らずかもしれないけれど、僕はもう村では暮らしてはいけません。
村の人たちが優しいのを僕は知っています。でもダメなんです。きっとみんな、僕を見るたびに自分のしたことを思い出して、傷ついてしまうかもしれないから。
その代わりに、出来れば村には豊かさを取り戻してほしいのです」
ステヴァン君はまた若大将に向き直りました。
「若大将、僕が村にいた頃に耕していた畑を、どうか税に取らない畑にしてはもらえないでしょうか? 村は土が貧しく冬も深いので、小麦もあまり育たない土地なのです」
若大将はうっとりと角の弓を見つめ、指で優しく撫でているところでした。
「……え、何? ああ、まあこの辺りの税を握っているのは私の父上だが、近いうちに私が新たな領主としてこの辺りを任せられることになろう。
村のやせた畑の一つや二つくらいなら、今回のお前の働きに免じて村のものとすることを許可してやらんでもないぞ」
それを聞いて、村長は小さくため息をつきましたが、どうにか折れてくれました。
「最後に町長さん。
ご覧のとおり僕は今や角の弓を失ってしまいました。普通の弓を作り直せばまた狩りをすることはできると思いますが、こんな僕でも家や土地を与えてくださるのですか?」
「えっ、う、う~ん。そう、ですなぁ……」
町長さんは汗で光るおでこをハンカチでふきふき、ちょっと困ったように考えていました。
「新しい弓をつくったら、僕は町の人達のために一生懸命狩りをすることを誓います。今は酒場のご夫婦の好意で住む場所を与えてもらっている身ですが、いつまでもその好意に甘えているわけにもいきません。
それともオーガをやっつけることのできない狩人は、町には必要ありませんか?」
「そ、それは……」
「町に住まわせていただけるなら、この前おっしゃっていたような立派な家でなくても構いません。町に住まわせていただけないのでしたら、僕は森で小屋をつくって、そこで暮らそうと考えています」
「え、ではオーガスレイヤーはこの町を出て行くと? それはいけないっ、それでは町のみなが黙っていないだろう。
わかりましたわかりました! 正直に言うと、この前話していた土地付き一戸建ての家というのは、あまりにも町のはずれあって森にも近く、かなり前から誰もすまなくなって久しいボロ屋敷なのです」
「なんだって、町長さん、あなたはそんなものを交渉の材料にしていたのですか?」
村長さんがちょっと怒った顔で迫りました。
町長さんはあたふたしてひっきりなしに汗をふきふきしていましたが、ステヴァン君の顔は明るくなりました。
「町長さん、どうか僕をそこに住まわせていただけないでしょうか? 森にも近いなら町の狩人にとってこんなに都合の良いことはないですから!」
「ほ、本当によろしいのですか? 掃除もろくにしていないお化け屋敷みたいな家ですが」
バツの悪そうな町長さんに、けれどステヴァン君は穏やかに微笑みました。
「オーガより手ごわいものなんて、そうそう出くわすものじゃありませんよ」
今までなら絶対に言えないような冗談を言って、ステヴァン君はそこにいるみんなを笑わせました。
かくして、若大将はオーガを倒したお手柄と角の弓を、村長さんは村で自由に使える畑を、町長さんは首長としての面子を、それぞれ手に入れることができたのでした。
兵隊さんたちが都へと帰る日、ステヴァン君は広場で若大将から銀貨の詰まった袋二つと、隊で飼っていた馬一頭を譲り受けました。
兵隊さんたちも今やすっかり町に馴染んでいて、初めのころのいざこざなんて、もう誰も覚えてはいませんでした。
「協力ご苦労だった。これで私も大手を振って都へ帰れるというものだ」
「こちらこそ、お心遣いはきっと忘れません」
若大将はステヴァン君の両の肩をしっかりと握り、自信に満ちた顔つきで別れを告げると、進軍のトランペットを吹き鳴らしました。
珍しくきれいに晴れた青空に、力強い音が響き渡ると、兵隊さんたちはみんな手をふって町を去って行きました。
その後、銀貨が詰まった袋の一つをステヴァン君は酒場のご夫婦へ渡しました。
ご夫婦は中の銀貨の数を見ると、目を皿のようにして驚きました。
「これで、今までの借りはみんな返せたかな?」
そういって笑うステヴァン君に、ご主人はどこか呆れたように笑い返しました。
「十分すぎるくらいだよ。またマッシュルームでも拾ったら、いつでも売りにきな」
「今度はちゃんと、目に見える獲物を持ってくるよ、期待してて」
「本当にありがとうステヴァン。今度店に来るときにはきっと赤ちゃんも一緒よ」
「こちらこそ、今まで本当にありがとう奥さん。生まれたらきっとお祝いしますね」
ステヴァン君は屋根裏から引き揚げた小さな荷物袋を担ぎなおすと、もう一度ご夫婦にお礼を言って店を後にしたのでした。
それからというもの、ステヴァン君は町のはずれにあるボロボロの屋敷に一人住むことになりました。
初めの何日かは穴の開いた屋根や壁を直したり、家中のホコリをかきだしたりするのに大変でしたが、仲良くなった町の若者たちが時々手伝いに来てくれるおかげで二週間もしないうちに大分きれいになりました。
町ではようやく浮かれた雰囲気が和んできました。
けれど町にステヴァン君が買い物にくると、みんな決まって暖かく迎えてくれました。
こうしてすべてがうまくいき、かつてステヴァン君が望んでいたものが、限りなく本当のことになりました。
けれど、ステヴァン君はどこか、心の底から笑うことはできそうにありませんでした。
結局のところ、満たされているはずのステヴァン君の心には、なにかひっかかるものがあったのです。
「静かだなぁ……」
ステヴァン君は一人、何も持たずに静かな森の中を歩いていました。
兵隊さんたちが燃やしていった森は、あの後すぐにたくさんのみぞれが降り始めたおかげで森中に広がることはなかったのですが、それでも遠くから見ると、森全体がところどころ禿げ頭のおじさんみたいになってしまっていました。
それでも、森をまっしろく覆っていた雪の多くは、このところ続いている穏やかな陽気に当てられて、じっとりと地面を濡らしながらとけていました。
火の回らなかった木の枝には、長い冬から目覚め始めたリスや野ネズミの親子がちょろちょろと駆けまわっています。木に話ができるなら、きっとくすぐったくて笑い転げてしまっていることでしょう。
ステヴァン君は森をゆっくりと進み、しばらくして森の中の開けた場所へ行きつきました。
そこは小高い丘になっていて、てっぺんからは森と雪解けの川、遠くには山に町、果てに小さな村までを見渡せる素敵な場所でした。
「やっぱりこの辺はほとんど融けているんだなぁ、風が気持ちいいや」
ステヴァン君は広く小高い丘をゆっくりと登り始めました。
お日様がすっかり当たるこの辺には雪はもうほとんど残っておらず、代わりに背の低いヒースたちが顔を出し、お日様の光を一身に受けていました。
歩き始めて少しして、ステヴァン君は湿った地面が大きく凹んでいるのを見つけました。
ぼんやりとそれを見ていたステヴァン君は、
「これは、足跡? でも、こんなに大きなもの……!」
急に弾かれたように背筋を伸ばし、その大きな足跡を追いかけました。
足跡は丘のてっぺんへと続いています。
ステヴァン君は始めは早歩きでしたが、その足は徐々に駆け足に、そしてしまいには全力で駆けだしていました。
「もしかして……もしかしてっ!」
丘のてっぺんまであと少し。
ステヴァン君は走りながらぐっと顔を上げてそこを見つめました。
そこには先客がいました。
獣の皮をまとった大きな体は筋骨隆々。
髪の毛は瞳の色とおんなじきれいな灰色で、女の人のように長く真っ直ぐ。浅黒い肌の色と大きなこと以外は普通の人と変わらないけれど、
幅の広いかぶり傘で隠れているそのおでこには、二つの小さな角が生えていました。
「オーガさんっ!」
「ぬ、おおっステヴァン。久しぶりだなぁ」
久しぶりに叫んだステヴァン君に、オーガは笑って手を振りました。
とても堂々とした身体の肩口あたりには、片方に一本、片方に二本の矢が刺さっていました。
「オーガさんっ、生きていたんですね!」
駆け寄ったスたヴァン君は息を弾ませ、声を弾ませてそう言いました。
「ぬ、なにしろ俺の身体は丈夫が取り柄でな。まあいささか水練には季節が早すぎたがね」
オーガは被り傘をくいっと傾げてニヤリと笑いました。
「あの、なんでまだ矢が刺さっているんです?」
「ああ、これか。なにを隠そう、こいつが刺さってからというもの肩こりがすっかりと治ってな。いいあんばいなんでこのままにしとるのさ」
「あ、あぁ? あっ、あははははははは!」
「ぬ?」
あまりに何でもないふうにオーガがそういうので、ステヴァン君は何だかとてもおかしくなってしまって、しまいにはヒースの原っぱに寝転がって笑い転げてしまいました。
そんな笑いに笑うステヴァン君を見て、オーガもまた低くごろごろという音をひびかせて笑いました。
ひとしきり笑い終えると、ステヴァン君は灰色の瞳にたまった涙のつぶを指で払いました。
そしてまるで今までどこかで引っかかっていたなにかが、きれいさっぱり消え去ってしまったように感じました。
「まあなんだ、ステヴァンよ。あれは善い矢だったぞぉ」
そういうオーガはどこか嬉しそうです。
ステヴァン君は肩をすくめました。
「オーガさんに教えてもらった角の弓を使ったんです。僕だけの力じゃありません。
それに、弓はもう別の人に上げてしまったんですから、僕はもうオーガスレイヤーじゃない、ちびのステヴァンですよ」
哀しそうに微笑むステヴァン君を、その深く不思議な輝きをたたえた瞳でじっと見つめると、オーガはゆっくりと首を横に振りました。
「もしかしてお前さんは、ただ運がよかったために俺をしとめたと思っているんじゃあなかろうな」
「え?」
「自分を自分でおとしめるのはよすことだなステヴァン。お前さんはまっこと素敵な人間なのだよ。その証拠に、俺は心からお前さんが好きになったのだから」
オーガのそんな静かな、けれど心からの言葉を聞いて、ステヴァン君は嬉しさで胸がいっぱいになるのを感じました。
その言葉は飾り気はなくても、ステヴァン君が今まで一番聞きたかった言葉だったからです。
自分と同じ灰色の瞳をうるうるとさせているステヴァン君に、オーガはふっと笑いかけると、ひょうひょうとこう付け加えました。
「だがそんなお前さんにしても俺と同じ、この広い世間から見てみれば、ほんの小さな平凡な一人に過ぎんのだからなぁ」
その言葉に、我らがステヴァン君は冗談でも皮肉でもなく、心の底から、
「……ええ、おかげさまで!」
そう言ってにっこり微笑んだのでした。
それから大きな一人と小さな一人は少しの間話をしました。
オーガは近いうちにステヴァン君をオーガの隠れ里に招待することを約束しました。
これにはさすがにステヴァン君もちょっとひやっとしましたが、オーガは強い者を重んずる一族なので、きっと歓迎してくれると聞いてホッとしました。
「里に来たら、俺の妻と子も紹介せんとなぁ」
びっくりするステヴァン君に、オーガはニヤリを笑いかけ、
「なんなら、里の娘を嫁にでもとるか?」
そんなことを言ってステヴァン君をからかうのでした。
「……そうだ、お前さんに会ったら渡そうと思っていたのだ」
オーガは背負った袋をごそごそとやり、そしてなにかを取り出しました。
それを見てステヴァン君は、思わず見とれてしまいました。
それはオーガが作った大きな獣の角の弓でした。
弦は外してありましたが、ステヴァン君が作ったものよりもずっと素晴らしい出来で、形もきれいに整えられ、本体は夜のようにしっとりとした黒で塗られていました。そこには植物のつるや獣、読めないけれど美しい形の文字が金色でていねいに描かれています。
「こんな素晴らしいものを、僕に?」
「俺は弓は好きだが射るのは下手でな。まあなんだ、オーガスレイヤーにはちょうどいい弓じゃあないかね?」
ステヴァン君は小さく震える手で弓を受け取りました。
「……一生、大事にします」
「うむ、ではすべきことは終えた。また近いうちに出会うこともあろう、それまでさらばだ、ステヴァン」
オーガは丘の上からもう一度川や森、山や遠くの町を眺めると、のっしのっしと丘を下って行きました。
その後ろ姿が森の木々に隠れて見えなくなってしまうまで、ステヴァン君はずっと手を振り続けました。
そうしてオーガが見えなくなると、小高い丘の上に一人立つステヴァン君は、どこか満たされたような気持ちでほぉっと息をつきました。
晴れ渡る空は抜けるように青く、どこまでも広がって行きます。
山も森も町も、だいぶ暖かくなってきました。
この分なら、もうすぐ果樹園は花盛りになります。
ハシバミの茂みでは小鳥の巣作り、低地では大麦の種まきが始まります。
思えば初めてオーガと出会ってから、そろそろ一年近くが経とうとしていました。
こうして一年近くが経った今、つきものが落ちたような実に清々しい顔で、ほんの少し大人っぽくもなった、我らがステヴァン君。
柔らかな早春の風はどこまでも爽やかに、彼の頬を撫でていきました。
もうすぐ、春です。
〈早春の風、爽やかに 完〉