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奴隷飼いの大豪商  作者: 小虎
第1章 青年と奴隷少女達
3/9

3.外への旅立ち

私たちと共に通路を歩く目の前の新しい主は、時々私たち奴隷がついてきているか振り返って確認します。その眼光は鋭く、私たちを不安の渦中に陥れるのは簡単でした。そのせいで周りの女の子たちは俯き、震えているようでした。


 「お前たちは運がいい」


 突然新しい主が口を開きます。


 「え?」と私が聞き返すと「これからは元の生活が思い出せなくなるくらい使い込んでやる」と無表情に言い放ちます。


 「は…はい。よろしくお願いいたします」


 疲労と恐怖に支配されていた私には、そう返すことが精いっぱいでした。


 建物から抜けると、さんさんと照る太陽が目に差し込みます。しばらく地下の暗い部屋に幽閉されていたので、目が慣れるのに時間が掛かりました。


 目の前には、何人も乗れるような大きな馬車があり、傍にはメイドさんが控えていました。


 「サリア。この“女ども”を世話しろ」


 「はい。かしこまりました」


  眼鏡をかけた長い銀髪のメイドさんは、一言そういうと、馬車の扉を開け、自分の主人を迎え入れます。


すると彼女は私たちのほうに目をむけ

 「あなた達もお入りなさい」

と声をかけました。


奴隷である私たちが主人と同じ馬車に乗るとは思ってもいなかったので、つい問いかけてしまいます。

 「私たちも中へ入ってよろしいのですか?」


 「10人も買うつもりがなかったのだ。荷台をつなげていない。」


 新しい主が答えます。するとサリアとよばれたメイドさんはこっそりと笑いながら


 「私の時も同じことをおっしゃっていたわ。きちんとした椅子に座らせてあげたいとお考えなのよ。フフ」とわたしに耳打ちしました。


 「いらんことを思い返してる暇があったら、さっさと出発させろ。こいつらしばらく風呂に入ってないから、臭くてかなわない」と仏頂面を浮かべながら吐き捨てるのは新しい主。

 「はい、承知いたしましたわ。アルベル様」

 

 笑顔をほころばせながらそういうと、サリアさんは御車台へ。


 私たちが車内に入ると、そこには壁に沿って据え付けられていた椅子が並んでいました。新しい主が一番奥の真ん中に座り、ほかの女の子たちがそれに続きます。全員が馬車に乗り込んだことを確認すると、サリアさんは馬車を出発させました。

 


 率直に言うと、アルベルの気遣い(本人は絶対に認めないが)は彼女たちにとって非常に助かるものであった。

 奴隷館からアルベルの邸宅へは、馬車で3時間かかるほどの距離があり、且つその道中も道が整っているわけではなかった。そのため、振動が続き、揺れが中にいる人間を直撃する。もし荷台などに詰め込まれていたらアイリスたちは尻を痛めていたことだろう。それに比べたら、中の椅子はフカフカで、ある程度の振動があろうが尻が痛くなることはなかった。

 

 「………」


 馬車に揺られること1時間。新しい主人は一切口を開きません。私や他の女の子たちもそれを受けて押し黙ってしまい、車内は沈黙が支配していました。彼は、自分の名前や目的地、これからどうするのかという話すらしないものだから、私たちも何をどう切り出してよいか、手を出しあぐねていました。

 

 各々でアイコンタクトを取った末、新しい主の名前を聞くことにしました。。その役を私ことアイリスが承ります。


 「あの…ご主人様。お名前をうかがってもよろしいですか?」


 恐る恐る聞くと、主人の鋭い眼光が私を射抜きました。


 「…そうか。まだ名乗っていなかったか」


 この言葉に私たちはたちは少し安堵しました。この主人はどうやら、いたずらに奴隷たちを怒鳴りつける性分ではないようです。


 「…俺はアルベル・デュランド。貴様らの新しい主人だ」

 

 「…………」「…………」


 また沈黙。こちら側の自己紹介をしようかとも考えましたが、こちらは10人。長くなりそうだったため私は質問を重ねることにしました。


 「これからどちらに向かわれるのですか?」


 「…俺の家だ。お前たちの配置もそこで決める」


 「…配置?」


 アイリスの疑問は主人の耳には届かなかったようで、また沈黙が降りる。


 アイリスたちがいた奴隷館は、いわゆる夜の相手としての奴隷を売っている場所である。そうなると、アルベルが少女たちを購入した理由も推して知るべきだが、それでは「配置」という言葉に違和感を覚える。

 御車台で運転をしているサリアの言葉にも「私の時も」とあった。それはつまり、彼女も奴隷としてアルベルに買われた過去を持っているということだろうか。

アイリスがそこまで思案すると、馬車が停止する。どうやら目的地に着いたらしい。


 「降りろ」アルベルがそう告げると、馬車の扉をサリアが開ける。


 「はい皆さん。こちらへ来てくださいね」


 馬車を降りると、アイリスたちの目の前には大きな屋敷があった。


 「ようこそアルベル邸へ。フフ」


 「すごい…きれいですね」

 

 「そう?ありがと。今日からあなたたちの家でもあるのよ」


 「ここに住めるのですか?」


 「そうね。配属先もまだ決まってないし、教育もあるから、当分はこのお屋敷に住むことになるわね」


 「先ほどアルベル様も配属について少し触れられていたのですが、私達って…」

「…サリア。こいつらは俺がホールに並べておくから、お前はハウス部、警護部、工場部の部長を連れてこい」


 「承知いたしました」


 「…これから貴様たちの配属を決める。なるべく希望に沿う形にはするが、人間には適性がある。それを今から審査する。わかったな?」


 「「はい!」」

 「…いい返事だ」




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