呪い~九話~
その日から 私は少しづつクラスにうち解け始めた。
生き物係は大好きな動物たちと
触れ合える最高の時間だったから
一生懸命やった。
ピョンと名前をつけていた白いうさぎは
私の手からえさを食べた。
「さっちゃん」
「幸」
自分の名前を呼んでもらえるたびに
嬉しくて仕方がなかった。
「今日も楽しかったよ。」ピンクのランドセルに話しかける。
「痛い……」
チクンと傷が痛んで 私は立ち止る。
まただ………。
あれから凛の視線はより一層意地悪になった。
仲間を引き入れて コソコソと私の方を見て笑う。
しばらくしてから
「変な服だよね。」
「あの髪の毛はないよね~」
「なんかくさい!!
お風呂入ってないんじゃない?」
私も女の子だから数人でそう言われるといい気持ちはしない。
おさがりの洋服はやっぱりボロだし
髪の毛だって出入りしてる床屋のおじさんが一カ月に一回
ボランティアでおかっぱにしてくれるだけで
私も出来上がりの髪を見て
これはないよね~
そうつぶやくけど・・・・
くさいだけはイヤだった。
あいつらの視線のないところで 体の匂いをかぐ。
くさくないし…
自分で安心しても 自分にわからない匂いがあるかもしれないと
不安になる、
誰かに聞けることでもないし
そばにいる子の行動を見ながら 自分で判断したりして
すごいストレスになっていた。
「幸 臭くないよね?」
ランドセルに話しかける。
園では二日に一回のシャワーと一週間に一度のお風呂
毎日入ってないから臭いのかな……。
その言葉が不安で せっかく仲良くなった友達からも少し
距離をおいてしまうようになった。
甘い香りのする凛が憎らしかった。
言葉のイジメと視線は 毎日エスカレートしてきた。
そして私はまた 自分の殻にとじこもってしまった。