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引き裂かれた心~八十四話~

「変だよ。圭さん。

何かあったの?」



圭さんはハッと我に帰った顔に戻った。



「ごめん…ほんとごめん…。」



そう言うと私をベットから起こして乱れた髪を直した。



  ごめん……


私の聞きたいのはそんなごめんじゃない……。



  正直に話して……

  嘘 つかれるほうが不安だよ。

  隠そうとしないで…ほんとのこと言って……。




「クリスマス・・・になっちゃうな。

友達の名前使って…また少しでも一緒にいれないかな。」



私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。



「・・・ムリ・・・・。」私は思わず横を向いた。



「そ…そっか…そんなに嘘つけないよな。」



  圭さんがついてるんじゃない……。



私だって…ほんとのこと話すよ。

あの日のこと………。



だから…

私に嘘つかないで……

松下さんと一緒だったの…知っているんだから……。



「じゃあな……。

次に会う時まで 機嫌なおしておいてね。」


圭さんが私の頬にふれた。




  圭さんの嘘つき



私は圭さんの目をずっと見ていた。

圭さんはそんな私の目を 避けるように目を伏せる。




「幸の目 なんか怖いな。

俺を読もうとしてるだろう?」



「読む?意味わかんないです。」



「いや…なんでもない…。

怒らせたならごめんな。」



圭さんは階段を降りて行った。



「キライ・・・圭さん……。」




だけど…だけど…


愛してるの………。


私は圭さんのベットをなおして 慌てて後を追った。




圭さんが玄関で靴を履いていた。




「待って!!!」私は叫んだ。

圭さんがふり向いたと同時に慌てた私は階段から 足を踏み外した。



 ダダダダ・・・・・



階段のカーブの踊り場で止まった。



「いたいた・・・・。」私はお尻をおさえた。



「大丈夫か!?」圭さんが慌てて階段を登ってきて




「うん…でも…お尻……いたた……。」力が入らないけど

なんだかおかしくなって

私は急に ゲラゲラと笑いだした。




「あははは・・・・何してんだか…あはは…」



笑いながら涙が出る。


痛い涙なのか…それとも恥ずかしいのか……それとも

圭さんの嘘がショックなのか……



圭さんが私を抱きしめた。


「バカだな……。

危ないじゃないか……。」




「ごめんなさい…あはは……

なんか…わかんないんだけど……笑いがとまんない…。

だけど…嘘はダメだよ……。

私も…圭さんも 嘘ついて隠しちゃダメなんだよ……。

だから…哀しい気持ちになっちゃうのかもしれない……。」




「幸?」



「信じてるから……だから嘘はイヤ……。」



圭さんは私を強く抱きしめた。



そしてひさしぶりに熱くて甘いキスのシャワーを私に注ぐ。


唇が離れるたびに圭さんの息が荒くなって



「愛してる幸…」何度も何度もそう囁いては またキスをした。




「結婚しよ……。卒業したらすぐに……。

ここを出て……二人でどこか遠くに行こう……。」



耳にかかる髪の毛をかきあげ 耳タブを噛む……。



「ヤン……。」




「いいな?幸……なるべく早く…誰にも見つからないところに……

俺と二人で逃げようね。」




「はい……圭さんとだったら

地獄でも…ついて行きます……。」





圭さんが私を強く抱きしめて・・・・時が止まった。

背中を抱く腕に力がこもった。




「圭さん・・・?」




また圭さんの腕に力がこもる。



「け・・・?苦しいよ…どうしたの?」




その時 私たちは一気に地獄におちた。



「おまえたち 何してんだ!?」叔父の声

私は体が硬くなっていくのがわかった。




「圭!?

おまえ……いったいどういうつもりなんだ?」




「幸…大丈夫だよ。

俺が……守るから……。」圭さんは私の耳でそうささやいた。





「圭!?何とか言いなさい!!」叔母の声がヒステリックに聞こえた。




叔父と叔母にみられるなんて……



「離れてよ!!圭くんから離れて~~~~!!!」

華子の悲鳴が響き渡る。




  華子もいたんだ……。



次の瞬間 私の復讐心に火がついた。

長い間私を ないがしろにしてきたあなたたち


愛する圭さんと私のこんな姿を見たら

さぞかしショックでしょうね。

圭さんの胸に顔を押しつけて 私は優越感に 微笑んでいた。

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