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引き裂かれる心~八十二話~

部屋の前で一応インターフォンを鳴らした。


しばらく待ったけど出てこない


鍵を開けて部屋に入る。




「圭さん・・・・?」


部屋には出張のカバンの中から 洗濯物を出した形跡と

それから多分私に買ってくれたというプレゼントと思われる箱



真っ赤なリボンが可愛かった。



同僚の人が「可愛いパジャマ」って言ってた。

早く開けたい気持ちを我慢してその箱を抱きしめた。



「まだ・・・寝てるのかな…。」



シャワーに入った形跡もないので私は

静かに寝室のドアをあけた。



「圭さん?まだ寝てるの?」



圭さんはいなかった。

ベットも私がなおしたままで片付いている。


「圭?」部屋の中を一通りにみたけど圭さんはいない。

というより帰ってきてる形跡がなかった。




  昨日・・・松下さんを送っていって



不安が胸一杯になった。


松下さんと何かあったのかしら……。

携帯電話に電話をかけようと思ったけど…怖くてやめた。



とりあえず学校に行かないとと思って

部屋を出てマンションを後にした時だった。


マンションの向かいの

コンビニで立ち読みしていると 赤い車がマンションの前に停まった。



何気に見てるとそこから 圭さんが飛び出してきた。



  圭・・・・・


圭さんは赤い車に手をあげて猛ダッシュでマンションに入って行った。

赤い車の人は誰なんだろう

不安な気持ちで押しつぶされそうだった。



半分わかってる…でも違うって思いたい。

もしかしたら友達か何かで……。

心の中で必死につぶやく。



  確かめなきゃ


赤い車に目を凝らしていると

コンビニの駐車場に入ってきた。



そして運転席から降りてきたのは 皮のコートを羽織った松下さんだった。

きれいにお化粧して髪の毛は後でまとめていて

大人の女を醸し出している。



心が粉々に壊れた音がした。



  一緒だったんだ。

  


私は松下さんに見つからないようにして隠れて歩いた。



松下さんはとても嬉しそうに見えた。

携帯を出して 電話をしだした。パン売り場で少し迷っているようだった。



「あ…松下です。

朝食食べる時間ないんじゃないですか?

日高さんのはまってるパンあるから 買って行きますね。

遅刻しないように…え?…そうでした…。

すみません……はい…いえ…かえってありがとうございました・・・・・。」



電話を切ると 圭さんがはまっているというパンを買って

それからいつも圭さんが飲んでいる缶コーヒーを二つづつ買って

コンビニを出て行った。



  圭さん このパンにはまってるんだ……



涙がポロンと落ちて 自分でも驚いた。



  学校行かなきゃ……


もしかしたら何か理由があって 松下さんと一緒だったのかもしれない。

圭さんは私を裏切らない。



だから圭さんに言われたこと…信じよう……。



一日中上の空だった。

授業も身に入らずに…思い出すと涙があふれてきた。



「幸?具合悪いの?」友達が心配してくれた。



「今…優しくしないで……。」哀しくて顔を覆う。


何もなかったとはいえ 男の人についていって裸で朝を迎えた私よりは

絶対圭さんは 悪いことしてないから……

自分のこと棚にあげて……

圭さんは絶対に嘘なんかつかないから……



「幸・・・・・。」友達が頭を撫ぜてくれた。



「泣いていい?」



「いいよ。胸かしてあげる。」



私は友達の胸の中で思いっきり泣いた。




   きっと神様が罰を与えたんだわ。

  


   私があんなことしたから…



だから我慢しなきゃ…忘れなきゃ…きっと圭さんが



「幸は心配症だな」そう言って抱きしめてくれるから………。

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