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裏切りの代賞~七十八話~

「座りなさい。よく来てくれたね。

わが社の誇る優秀な社員たちだから。今日は

思い存分食べて飲んで行ってくれ。」



「すみません・・・言葉にあまさせてもらいます。」

男性社員が三人 そしてあの女の人……



「そうそう・・・

これが私のあいする妻でそれから 長女の華子もう一人息子がいるんだけど・・・」



「さっき玄関でお会いしました。

社長に似て イケメンですね。」男性社員が恐縮しながら

叔父に酒をついでもらっている。




私が料理を運んでいると


私のことの紹介はないのかと不思議そうな顔をした。




「お手伝いさんですか?」



シノさんと私を見てそう言った。



「………そうだ。」叔父はそっけなく流す。




  お手伝いとしか言えないだろうな……


身内の子なのにこうやってお手伝いみたいなことしてたら

叔父の人格が疑われるし。



社員は叔母に向かって挨拶をし始めた。


そして


「松下 真理絵と申します。」あの人が頭を下げた。



「松下さん…優秀な女性が圭のサポートをしてくれているって

主人から聞いていますが…いつもお世話になってます。」



「そんな…お世話だなんて…

私の方こそ 日高さんにはお世話かけてばっかりで

今回のミスも元はと言えば私の責任ですが 日高さん始め課の

みなさんに助けられました。

こちらの方こそ感謝しています。」



一瞬の見かけだけでも この人の魅力は充分に伝わってくる。



「圭は こうと決めたらそれが間違っていても曲げない

頑固なところがあるので みなさんにもやりずらいところは多いと

思いますがどうぞよろしくお願いします。」



叔母は深く頭を下げた。



「いえ…いえ…そんな奥さま……

日高くんはとても優秀で…僕たちこそ支えてもらうことが

多いのですから…。」



「そう言ってくれると本当に助かります。

圭には親がいなくて私が育てて来たようなものなので…私も若くて

いたらないことたくさんあって 今思うと反省と後悔ばかり

圭がまともにこうして生きてくれるのが奇跡だと感謝してます。

姉というより…母みたいなもので……。」



叔母の目がとても優しく感じた。



いろんな事情で 弟を育ててきた姉



圭さんにとっても叔母は大切な人なんだろう。

でもそんな叔母を圭さんは 裏切って私と愛を誓った。



優越感と・・・

そしてその優越感を覆しそうな後悔が私を襲っていた。



「おじさま・・・私を紹介してませんけど。」

凛が起こった口調でそう言った。


「あ…すまん凛…」



叔父が話そうとしたら



「板垣 凛 です。 営業部長の板垣 洋一の 娘です。」




「あ・・・板垣部長の・・・」



社員たちは急に焦ったように頭をさげた。

多分 みんなに煙たがられる存在なのは間違いない。



「私は物心ついた頃から 圭くんが好きです。

その気持ちは今もどんどん膨らんできています。

だから私は数年後 圭くんが一人前になった時 結婚しますから。

それまで悪い虫がつかないように

みなさんで守って下さいね。」



上から目線の生意気ないい方に

社員たちも一斉にひいてしまっていた。


凛は感がいい。



それからまっすぐに 松下さんを見て


「よろしくお願いします。」と言った。



凛にとっても 危険人物なのがわかったのか……

それだけ松下さんは魅力的な女性だった。



華子もいいたげにしていたけど 叔父が


「仕事の話だから おまえたちは部屋に行きなさい。」

それを見透かしてか強い口調で言ったので

二人は渋々部屋に戻って行った。



「ごめんなさいね。

なんだか二人で圭のこと取り合っているうちに

何か勘違いしてしまったようで困っているのよ。」




「日高くんはキレイな女性に囲まれて暮らしているから

理想が高いのかな?」


一人の社員がそう言って圭さんをからかった。



「ある意味女性恐怖症ですよ 俺。」


圭さんはうまく流した。



「ありがとうございます。」私が料理をテーブルの上に置いたら

この上もない笑顔で松下さんが微笑んだ。



香水の香りが心地よく鼻をくすぐった。



「旦那さま シノはそろそろおいとまさせていただきますが…」


シノさんが背中を丸くしてやってきた。



「あ…そうだったね。今日は悪かったね。

急なことで忙しい思いさせて……。」叔父が言った。



「あとは…幸にやってもらうからシノさんは帰りなさい。」



  私が付き合うの…?


これ以上松下さんを見てるも辛い・・・・。

余計な嫉妬で落ちこみそうになっていた。



清楚で教養があってそして美人でスタイルがいい……。



叔父たちはこの人と企みを抱えているんだ。

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