表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/190

裏切りの代賞~七十二話~

「勉強するためにわざわざ泊まるなんて どんだけ勉強好きな学校なのかしら。

あんたなんてそんなに勉強して いったい何になるの?」

凛の意地悪な質問を背中でうけている。


「だいたいにして必要ないじゃん。

大学だって行くような身分じゃないし 図々しいってあんたのこと言うのね。」



  言っとけ…


私はこれから愛する人と一緒に初の温泉旅行

こんなヤツにかまってなんかいられない。



「聞いてんの?」



凛が私の背中に雑誌を投げつけて まだたまに痛む傷にぶつかった。



「すげーご機嫌斜めだよな。

凛おじょうさまはさ…まるで鬼のような顔してる。」


睦月の声がした。



「何よ 虚弱ダメ男が……。んな口たたくなら重い荷物一つでも

持てるようになったら?あんたが頼りないから

叔父さまやうちのパパは苦労してんのよ。わかってんの?」



「俺の親父は社長だけど おまえのとうちゃんって

別になんか関係あんのか?おこぼれにありつこうと必死な

親戚風ふかしたバカヤローにしか見えないけど

その娘のおまえはなんでそんなにえらそうなんだ?」



睦月の口の悪さも最近は拍車がかかってる。

でも・・・・すごく面白い……。



「腹立つわ~~こいつ~~」



「圭くんに相手にされるかよ。おまえなんか。

まだ血が繋がってる姉ちゃんの方がまともだよな。」



凛の平手が睦月に飛んだけどそれを睦月がかわして

その手首をねじあげた。



「いつまでもバカにすんなよ。

おまえの一人や二人 どうにでもできるんだっておぼえとけや。」



「痛い~~ちょっと叔父さまに言いつけるから~~」


凛がヒステリックに叫んだ。


「その顔 鏡で見たら?メスに飢えてる豚だって相手にしねーや。」



「おぼえときなさいよ。」凛が退散した。



私は思わずおかしくて笑ってしまった。


「何?そんなにおかしいか?

俺はめっちゃマジに戦ってるけど?」

睦月が言った。



「だって…すごい言葉悪いんだもん。どこでそんな言葉覚えるの?

ひどすぎだからね~」


私はお腹を抱えて笑った。



「ずっとずっとたまってた言葉を最近やっと

吐けるようになったからさ~~

俺がここまですごいというなら おまえもすごいんだろうな~」



「え?何が?」



「おまえの武器は何?

口?それとも・・・・・・。」と言いかけて睦月は黙った。




「それともって何よ。」




「いや~なんか秘密兵器もってるのかなって思ってさ。」




「秘密兵器か・・・。何か用意しとくわ。」




「わかってないな すごい秘密兵器もってんのに……。」




「え?私が?教えて何?」




「気づいてないならまだ教えない。

教えてもっと力持ったらおっかねーし~~」



「失礼な。おっかない・・・・あ~おっかないかもね~~。」



睦月はどんどん逞しくなる。



「睦月 男らしくなったね。

ホント虚弱なマザコンだとばっか思ってたけど…眩しいくらいよ。

大人になった・・・。きっといい男になるよ。」



心の底からそう思っていた。

睦月の不思議な魅力は これもけっこうな武器になるんだろうなって。



「上から目線だな。気にいらいない。」



「だって年上じゃん私~上からでしょ?睦月くん~~。」




睦月がいきなり近づいてきて私の両頬をおさえた。



  ドキドキ…・…

  何する気?


私が動揺しているのを見透かして

いきなり額に 頭突きをくらわせた。



「キャ~~痛い~~~し~~」

私が悲鳴をあげると 睦月が子供のようにゲラゲラ笑った。




「男をからかうと痛い目にあうぜ。」


ものすごいふざけたポーズで睦月がこんな言葉を吐くから

私はお腹の皮がよじれるくらい大笑いした。




こんなに笑ったの・・・・初めてかもしれない・・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ