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憎しみと愛~七十一話~

「大変なことになったわね。ナオさんにも教えてあげなきゃ。」


シノさんが楽しそうに見えた。



「圭さんに恋人がいたなんてね…ビックリしたわ。」


中途半端に残った料理をタッパにいれながらシノさんは

本当に楽しそうだった。



「圭さんの恋人きっと 呪い殺されるわよ。」



「え・・?そうなんですか?」



「だってすごかったじゃない。華子さんや凛さんはしかたないけど

旦那さまも奥さまも顔色変わったもの。

可哀そうに…この恋は終わりね。

圭さん お可哀そうに……。」



そう叔父はともかく叔母の変わり方に驚いた。

あんな顔すること・・・あるんだ………。あまりの意外さに本当にビックリだった。



  でもそんなの最初からわかってたし


きっとその相手が誰なのかわからないのにあの怒りっぷりなら

私がその相手だってわかったら

あの人たちどんなに驚いて 嘆くのかしら


想像するだけでウキウキしてる。



圭さんのことを純粋に愛してるけど

その中に少しだけ汚れている私がいて

そんな想像で喜んだりしてる自分がいるのは確かだった。


今までこの家で 受けてきた恩という名の呪縛が解けるとき

それは



圭さんが板垣を裏切る日

ここの家族が一番嘆く日になるだろう



それまで私は 大人しく目立たぬように圭さんに愛されればいい……。



いつしか心に宿った復讐という文字

それは板垣の家から 圭さんという誰からも愛され暮らしてきた人の裏切り



誰も見送りに降りて来なかった。



「寂しいですね。今日は誰も来ませんね。」私が言うと



「覚悟の上だよ。」と笑った。



「うれしかった……。」思わず出た言葉を圭さんが唇で止めた。



唇を離して圭さんが笑った。



私は驚いて周りを見渡す。

「圭さん!!」


「ごめん ごめん~~」



「もう~~ビックリするじゃないですか……。」




「俺もビックリしたよ。」




「じゃあ週末な。楽しみにしてるから。」

そう言うと圭さんは玄関のドアを開けて手を振って出て行った。



週末 私はものすごい大嘘をついて圭さんと温泉に行く予定をたてていた。

シノさんには話して 叔父からも承諾をもらった。

ここに来て初めての外泊許可だった。



学校で一泊 恒例になっているクリスマス前期末補習というイベントだった。

大学受験を控える学校の恒例のイベントだった。



そのイベントに最後だから出たいと シノに言うと

「今まで外泊だってしたことがないんだから 行きなさい。

旦那さまには話しておくから。」


そう心よく私の嘘にのってくれて少し胸が痛んだ。



もちろんこんなチャンスめったにない。

長い時間 圭さんと一緒にいられるなんて…圭さんに話したら


「悪い子だな~」って笑ったけど

すぐに温泉を予約してくれた。



「やった~~~!!行ってみたかったの~~」


毎年板垣家は年末年始を温泉で過ごしていた。

もちろん私はいつも留守番だったけど

最近は 睦月が参加しなくなって そのイベントもなくなったけど

でもせいせいできる時間で

嫌いじゃなかった。



「部屋に露天風呂がついてるとこ 奮発したからな。

期末いい点数とれよ。」



「まかせておいて~」



私はおおはしゃぎ。



圭さんと夜を過ごして 朝を迎えられる それも温泉で

私は幸せで幸せでたまらなかった。




  圭さんは私のもの……


どんな邪魔も入らない…二人だけの時間……。

想像するだけで胸がときめいてしまう。



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