呪い~七話~
板垣家というのは かなりのお金持ちで
大きな会社を経営しているらしく
凛や華子の身なりのすごさや 送り迎えにくる黒塗りの車も
金持ちなんだ
そう思えば納得が言った。
凛の攻撃はあれからまた増した。
担任も凛に関してはあまり言えないのか タジタジな様子で
助けてくれるという期待感も持たない方がいいと思った。
その強さはいつしかクラスの子たちからも
少しづつ浮き出して来るのは時間の問題で
女子の間でも凛の悪口が聞こえてきて
私としては それはとてもウキウキすることだった。
華子とはクラスが違うからあまり
接する時間はないけど
たまに見かける華子はいつでも可愛らしい人形のようだった。
凛も華子も髪の毛はいつも可愛らしく束ねてあって
二人にも両親が揃っているんだと思えば
憎らしくもなった。
嫌いな雪の季節になって
毎日毎日その白い雪を踏みしめて 寒い道のりを歩く。
「それでね~~今日ね~~」
他の人が見たらきっと私は痛い子だろうけど
やっぱり一年生 本当は一人でいるのは寂しかった。
「今日ね 柴田くんが給食の時間にね・・・」
誰もいないのに会話して帰るのが私の日課だった。
ピンクのランドセルに話しかける私
少しでも話さないと私自身 声を忘れてしまうから……。
雪のない…両親と暮らしたあの
幸せなところに戻りたい……。
私はどんどん卑屈な子になっていく。
幸せの似合わない 幸 という名前負けな人生で
呪いの効力にたっぷりはまった女の子
こんなはずじゃなかったのに……
キレイな雪が憎らしかった。
雪なんて大嫌い……
涙と鼻水が凍りそうな道を歩いている。
早く春になれ……
深い雪を長靴で踏みしめて歩く。
ピンクのランドセルが唯一の友達
「誰があなたをプレゼントしてくれたのかな。」
その疑問だけが残る。
凛や華子のようなお金持ちがこだわるみんなと違うランドセル。
「会ってみたいな~どうして幸にくれたんだろ。」
雪が私を隠してしまいそうに降っている。