憎しみと愛~六十七話~
べットから出て 昼食を用意しようとキッチンに行った。
キッチンのシンクには洗いものがどっさり
「いいよ~俺 あとでやるから
食洗機っていういいお手伝いさんがいるから。」
グラスが四つ
「誰か来てたんですか?」
「会社の人たち。」
胸が少し キュンとした。
二人の城に私以外が 来ているのは少しショックだった。
「昨日もちょっと遅くまでのんでたんだ。」
バカ・・・・圭さんの鈍感
「そうですか・・・・。」
私はそのグラスやおつまみを食べたんだろう皿を片方に寄せて
パスタのお湯をきった。
「あ~~そうだ~~忘れてた!!」
いきなり圭さんがリビングを出て行って
箱を持って私の前に立った。
「これ・・・これ・・・・開けてみて。」
「だってまだ…パスタ・・・・・。」
「いいからいいから~~」
私は慌ててその箱を開けた。
真っ赤なリボンは柔らかくほどけた。
「あ~可愛い~~~」思わず声をあげたのは真っ白なフリルのついたエプロン
「圭さんこういう趣味なんですか?」
圭さんは頭をかきながら
「結構これって男のロマン。」そう言うと私にエプロンをつけだした。
途中何度も額や頬 首筋にキスをして
「パスタのびちゃう……。」甘い声で体をよじった。
「うわ~~ロマン征服~~」圭さんが手をたたいた。
板垣の家では ほんとのエプロンでそれもシノさんたちが
つけるおばちゃんエプロンだったから
「エプロンにもこんな可愛いのあるんだ~~」
私も感動していた。
「これほんとは……すっぽんぽんで…つけてほしい~~」
ふざけた圭さんが私の服を脱がすマネをした。
「キャ~~変態~~」私が抵抗すると
圭さんは笑った。
「これまた男のロマン…その二~~」
「もう~パスタ作りますよ。」
「は~~い。今度やってね。」
圭さんが子供みたいでめっちゃキュンとする。
「はいは~い~~。」
圭さんのしてほしいこと全部してあげる。
二人で少しのびたパスタを食べた。
圭さんは
「幸の料理は最高だな~」と頬を膨らませて食べた。
圭さんの食べ方が大好き。
本当に美味しそうに食べるから。
その時 携帯が鳴った。
「お・・・・・。」
圭さんが携帯を見て
「松下さんか……。」そう言うと急いでパスタをのみこんだ。
「はい・・・・・・。」
さっきまでとは全然違う声。
「すみません。本日有休です。………作ってくれたんだ……。
ありがとう・・・・・・・これから?・・・・ん……もうちょっと夜なら
出て行けるけど………どこに?……じゃあまた電話するよ。
うち?……あ…今うちにいないから……うん……じゃあ後で……。」
圭さんは携帯をおいてパソコンを開いた。
無言でパソコンの画面を見て キーボードの音がした。
空気読まない人から仕事の電話ね・・・
さっきまでの甘い空気がすっかり仕事モードの圭さんに変わってしまった。
でも……そんな圭さんにドキドキときめく……。
圭さんの背中から静かに抱きついた。
「あ…ごめんな……。ちょっと待ってろよ。」
「うん…仕事モードの圭さんも素敵……。」
「マジ?」そう言いながらキーボードを打つのは驚異的に早くてビックリ
「こんなに素敵だったら会社の女の人に
もてちゃうんだろうな……。」思わず本音が飛び出してしまう。
「あはは~~んなことね~~よ。
俺なんてまだまだ子供扱いだからな~~
今も心配して同じ課の先輩から電話来てさ……
急がされてるし……。
仕事出来る人でさ……女にしとくのもったいないよ……。」
女の人?
これから会うのって……
私は言葉をしばらく発せなかった。
「よ~~し 終わったぞ~」
そう言うと圭さんはイスのままふり向いて私を膝の上に抱き上げて
優しくキスをしてくれた。
「ん~~~」
ちょっとすねてる私に気づいた。
「どうした?」
「女の人と夜会うの?」
「ヤキモチやいてるのか~。」圭さんが笑う。
「子供扱いして…嫌い~~。」
もう・・・バカ・・・・圭さんのバカ・・・・
「俺には幸しか女じゃないって言ったろ……。」
素早くTシャツを脱がされて 圭さんの思うがまま
私はまた圭さんの甘い魔法の中で 幸せを感じている。
太ももがチクンとだけ痛んだ。
でも・・・もうその痛みも圭さんとの甘い快感の中では
たいした事に思えなかった。
「愛してる…圭さん……。」
「俺もだよ……。幸がいればなにもいらない……。」
圭さんの指や唇の魔法で
みるみるうちに部屋が甘い吐息で満たされて行く……。
圭さんがいれば…なにもいらない……
私は圭さんに強くしがみついた。