秘密~五十九話~
次の日 病室に現れたのは 睦月だった。
「よ・・・」
「あら……」
さすがにうつぶせがつらくなって体を起こしたところだった。
「大丈夫か?」
「うん…体勢がちょっとキツイだけ…
お見舞いきてくれたんだ。うれしいな~。」
「俺をかばったからさ・・・
幸がかばってくれなかったら 顔やられてたよ。
サンキューな……。肉ついただけでも
こんなにひりひりしてんのにさ……痛いだろ?」
「だいぶいいよ。
顔はまずいって瞬間的に思ったの。
睦月の顔 かっこいいからね…生姜焼きでも私ビックリした。」
「華子頭おかしいんだ。あいつ圭くんのことだったら
殺すよ マジで……。頭いかれてる。」
殺す・・・・
なんかわかる気がして怖くなった。
「幸と圭さんって……」言いかけて睦月はやめた。
「何?気持ち悪いよ。」
「まさかさ・・・。なんか交流あったりすんの?」
「ないよ。」冷や汗が出てる。
「圭くんがさ~~すんごく慌ててたから
あんな圭くん俺 初めてだった・・・・・・。
交流ないなら…圭くん もしかしたらさ幸のこと……。」
「そんなことあるわけないじゃん!!」
思わず大声を出した。
「華子や凛に何かされたくないよ……怖いもん…」
大げさに答える。
秘密がばれたら大変だから
私は必死になる。
「殺されるかもよ・・・・。」睦月が笑った。
「なんか言ってた?私が病院行ってから……。」
こわごわ聞いた。
「華子と凛は 圭くんに叱られるとか言って騒いでた。」
「叔父さんや叔母さんは?」
「何もこれと言って言わなかったかな。
その代わり 帰ってきた圭くんが…出て行くって言いだして…
パニック状態だったよ。圭くんがあんなに怒ったりするなんて
昔一回だけ…見たな。
あの後 圭くん 地方の高校に進学先変えちゃったんだ。
だからあのバカ二人がパニックだよ。
出て行くって言うんだから。」
睦月の報告に胸が痛くなった。
ちょっと怪しまれてるかもしれない私たちの関係
それから圭さんがとうとう
事を起こし始めたという予感。
「大変なことになってるのね。」
私はつとめて無関心なふりをした。
秘密が今 ばれるわけにはいかないから……
少しづつ 私が板垣家から解放される日が近づいているような気がした。
それはいろんな危険が入り混じった……
危ない橋のようにも感じた。
「幸もやっぱ圭くん カッコいいとか思う?」
睦月が探ってるような気がした。
「…だってずっと年上だし…そんなことになったら
華子や凛にもっといじめられるし
それに…学校に好きな人いるから……。」
必死なごまかし
「へ~~好きな人いるんだ~~」
「あたりまえよ。高校生なんだから。」
「だから最近 幸 またキレイになったんだ……。」
睦月がつぶやいた。
私は もっと上手な女優にならないと…と危険を察していた。