秘密~五十七話~
華子と凛はエスカレーター式の大学へなんとか推薦枠で行けると大騒ぎ。
その日も圭さんを待って
二人が小競り合いを始めていた。
どんなに争っても圭さんは私のもの
優越感が広がる。
叔父が帰ってきて 凛が詰め寄った。
「叔父さま パパから聞いたと思うけど 大学卒業するまで
四年あるからその間は圭くん修行させて 卒業したらすぐに結婚するから。
叔母さまもいいでしょう?
今日 圭くん帰ってきたらその話するから。」
これ見よがしに凛は 華子を威嚇するように言った。
めずらしく睦月がキッチンから入ってきて
「今日のメシはなんだ?」
「今日は生姜焼き。早く手洗って。」
睦月はなぜか私には よく話しかけてくる。
「部屋に持ってきてよ。」
「ダメよ。ちゃんと座って食べなさい。」
「またうるさくなりそうだしな~
あいつらいつまでああやってくっだらねーことで対抗しあってんだか・・・。」
その間も凛と華子の言い合いが聞こえる。
ほんと・・・バカみたい
私が料理をキッチンに運び出す頃 また二人は激しくなった。
「おとうさま!!」華子が叔父に言い寄った。
「そんな話みとめてないわよね。」
「圭が決めることだから私が口を入れることじゃない。
おまえたちはそんなことはいいから少し勉強しなさい。
成績が悪すぎる。」」
「じゃあ睦月はどうなのよ。」
席についた睦月に矛先な向いた。
「俺?勘弁してよ。そういうくだらねー話はさ 二人だけでやれよ。
そんなに熱くなったって圭くんは絶対 二人は選ばないからさ。
ねえちゃんは最初からムリ~~
凛は絶対ムッリ~~~」
すごくバカにした様子がおかしくて私はついつい
食器をだしながら笑ってしまった。
「なに?」凛の目が光った。
「あ…睦月の言い方がおかしかったから……。」
睦月が私を見て
「どうせ相手になってされないのに ここで争ってバカみたいだよな~幸~
俺が三人見てどうするか考えるなら絶対幸さな。
肌はきれいだし スタイルはいいし~
ここでずっと幸を見かけていたら圭くんだって幸だろう?」
睦月~~もうやめてよ~~
笑えない冗談・・・・・・。
私が運んできた生姜焼きを入れたさらを華子が奪い取って
睦月にぶっかけた。
「あっち~~」
シノさんが焼いたばっかだだもん……
睦月の顔を直撃した。
私は慌ててキッチンにあったおしぼりで 睦月の顔をおさえた。
「何すんだよてめー頭おかしいんだよ!!
だいたいさ血のつながった叔父さんにそんなに熱くなってる自体おかしいんだよ!!」
「やめなさい!!」叔父が一喝したけどもう止まらなかった。
華子は気が狂ったように食卓にのった料理を手当たり次第に
睦月に投げかけた。
「華子!!」叔父や叔母が叫んでも華子は興奮状態だった。
熱い味噌汁に手をかけた。
叔父は熱い味噌汁を好むから 私は危険を察した。
睦月は一瞬違う方を向いていたから
「危ない!!」そう言って睦月をかばった。
背中に熱い味噌汁がかかって 私は
「キャー」と叫んだ。
「幸!?」そのまま睦月にしがみついてその痛みにのたうち回った。
そのとき私の体が宙に浮いて 浴室に入れられて
「我慢しろ。」
シャワーの水が背中向けてかけられた。
「ひゃ~~冷たい~~」私はガタガタと震えた。
冷たい水は私の全身の体温を奪って行くようだった。
「助けて…」
「ごめんな…幸 我慢しろよ。」
見上げるとそこに圭さんが立っていた。