愛される自信~五十二話~
「はい~ここだよ。俺の城~」
そう言うと圭さんは運転席を降りて 助手席のドアを開けてくれた。
「まいりましょうか お姫様。」
車を出て見上げると七階建てのマンション
「え?俺の城って?」さっきから何度も質問してんのに笑ってはぐらかされていた。
「質問は城に入ってから答えるから。」
そう言うと私に鍵を渡した。
「これは 幸が持っていて。
これからここに入るやり方を教えるからちゃんと聞いとけよ。」
圭さんの話を真剣に聞きながら
私はワクワクしていた。
「そんでここを710と押します。押してみろ~」
ワクワク
エレベーターに乗って 710号室に鍵をさして回した。
「ようこそ~」
圭さんが先にホールに上がって私は慌てて靴を脱いだ。
体がふわ~と宙に舞って圭さんが私を抱き上げた。
ホールを進んで行くとドアがあってそこを開けたら一面に
札幌の街が見えた。
「うわ~~~すごい~~~」
私は圭さんの体から身を乗り出して叫んだ。
「すごいだろ?この窓全部 幸のものだよ。」
「え?」
「この部屋にあるもの全部 俺と幸のもの。」
「うれしい……」涙で窓の外がにじんだ。
圭さんはとりあえず最初は板垣の家に引越してくるんだけど
この城は落ち着いたらこっちに越してくるために用意した。
そして一人になりたい時や
私と二人になりたい時
そして私だけのお城として用意してくれたと言った。
その話を聞きながら私は感動で胸が一杯だった。
「バイト死にもの狂いでやったんだぞ~~~
幸は信じてなかったみたいだけど ほんと誰ともあんまり遊ばず
とにかくバイトした。
だけど不思議に辛くなかったのは きっと
幸がこんな顔して喜んでくれるって信じてたから……。」
そう言うと私を抱きしめて
長いキスをしてくれた。
私は圭さんの熱い唇を受けながら 傷を何度も自分で
つねってみた。
自分で与える痛みなら 前みたいに何も起らないから……
「どうした?」唇を離して 圭さんが私を見た。
「ううん~~」
今度は自分から圭さんを求めた。
「あ・・・幸 そんなことする子じゃなかったぞ!?」
「だって…幸 学校の子に告白されたんだもん~」
「なに?どいつだ?」圭さんは笑った。
「やきもちやいてくれないの?」私は圭さんの様子に少しガッカリした。
「幸は俺のことしか見てないから……」
圭さんはそう言うと私を強く抱きしめた。
「憎たらしい~~幸のことはなんでもわかるって悔しいんだけど……」
「俺のことは幸にはわかんないか?」
「……やっぱり心配だもん…圭さん素敵すぎるから……」
「愛情の注ぎが足りないのかな?
ではこれからお仕置きをしないといけないな。」
ドキドキ・・・ドキドキ・・・
私は頬が燃えそうだった。
圭さんは私をまた抱き上げて違う部屋のドアを開けた。
その部屋にも少し明かりのつきだした街の風景が広がっていた。
そしてその中央にある少し大きめのベットが視界に入った時
私の心臓はドキドキからバクバクに変わった。
圭さんが静かに私をそのベットに寝かせた。
いつもの優しい顔にホッとした。
「ずっと・・・ずっとこの時を待ってた・・・・。」
私は少し潤んだ視界で圭さんを見つめた。
「幸は俺が絶対に 幸せにする…そう誓ったんだ……。」
うれしくて涙が流れ落ちた。
「幸も……圭さんに幸せにしてもらいたい……。」
これからここで何が始まるのかは なんとなく想像はできたけど
未知の世界だった。
「愛してるよ。
俺の愛にもっと……自信を持っていいんだよ。
不安にさせるならそれは俺の表現不足だよな……って
ほんとこれ 精一杯だから……。
大切にする……。いろんなもの裏切っても俺の人生に幸しか…いらない……。」
私は目をつぶって
「私も圭さんとずっと一緒にいたい…」そう言った。
部屋が薄暗くなって窓の外の夜景が輝きだした時 私は圭さんの
腕の中で裸のまま抱きしめられていた。
私は圭さんに 女にしてもらった。
「愛してるよ……。」圭さんの言葉に
「このまま死んでもいい……。」私はそう言って泣いた。