愛される自信~五十一話~
いつものように学校を終えて急いで校門を飛び出すと
「幸!!」声がして私は慌てて辺りを見回した。
「ここだよ。」
黒い小さい車が停まっている。
圭さん?
助手席の窓から手だけ見えたから恐る恐る近づいてみると
「ひさしぶり~」と笑う圭さんがいた。
「あ~~!!どうしたんですか!?」うれしくて大きな声を出すと
「元気そうだな~」と言った。
あまりに突然で私はすっかり舞い上がっていた。
圭さんは運転席から降りてきて
助手席のドアを開けて
「どうぞ。お姫様。」と笑った。
「キャ~~」私は興奮がなかなか冷めずに涙まで出てきた。
車が動きだして ハンカチで涙を拭いてる私を笑う圭さん。
「そんなにうれしかった?」
「はい…だってすっごく突然なんだもの……。
それも学校に来てくれるなんて……感動しました~」
「悲しくても泣いて 嬉しくても泣いて それならいつになっても
そこの赤いのとれないじゃん。」
信号が停まったとこで圭さんはいたずらっぽく
私の目尻にキスをした。
「こ…こら~~ぁ前しっかり見てないと
捕まりますから~~」
「お・・・いけねーいけねー」
圭さんはゲラゲラ笑って前を向いた。
嬉しい・・・こんなに会えたことが嬉しいなんて……
「あ…でも私家に帰らないと……。」
「大事なレポートを提出しないといけなくて
調べ物をして六時くらいまで帰るって電話しろ。」
「え?だってウソついたら……。」
「今日はそうしろ。」
「はい・・・・・。」
「公衆電話ないかな~~~」圭さんがつぶやいた。
「いつも圭さんに電話するところこの近くです。」
貴重な公衆電話の前に車を停めて
「女優しろよ~」と笑った。
嘘つくのはドキドキだけど・・・こんな嬉しい嘘をつくのは最高に楽しかった。
シノさんごめんね……
シノさんは快く快諾してくれた。
「でも遅くならないでね。」
「はい。六時までには帰ります。」
そう言って電話をきった。
「どうだった?しっかり演技したか?」
「シノさんに悪いな……ってしっかり演技しました。」
解放された気分だった。
ここに来て初めてだった。
外でこうしてゆっくりできるのは……
「じゃあ 行くか~」
「行くって?」嬉しくて私はたまらない。
「俺の城~~」
「城??」
圭さんの横顔を見ていたらこのままずっと一緒にいたいそう思った。