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愛される自信~五十話~

今か今かと 凛や華子と同じくらい…ううん…その百倍その日を待っていた。


電話をして聞いても圭さんは

笑って教えてくれなかった。



「圭くん…帰ってくるんだ……。」

後を通りかかった睦月がつぶやいた。



「そう・・・みたいね……。二人とも盛り上がってるから・・・」

わざとに興味なさげにかわした。



「圭くん 圭くん って

ホント俺 圭くんがうんと年上でよかったよ。

これで年が近かったら比べられて うんざりだ。」



いつも圭さんがきたら べったりな睦月から意外な言葉



「睦月さんも…大人になったんだ。」



「なんで?」



「圭さんを複雑な気持ちで見てるから…。」



「幸はよく見てんな~。」



「私もうらやましいもん。

あんなに家族に愛されて…圭さんの存在は太陽だわ。」



「俺も大人には否定的だけど 圭さんだけはバイブルだから……。」




「睦月さん…タバコ臭いわよ……。」



「マジ?わかる?」



睦月はすっかり男らしくなった。

ひ弱だった細い体の線は 少しだけガッチリしたような気がする。

すっかり170を越えて

私を見下ろすようになって 声も太くなった。

そして少しづつ 家族の前で変化を見せるようになっていた。


その言動は 睦月を溺愛する叔母を悩ませ始めていた。


「体によくないんだから……。」



「もうさ…そういう壁に閉じ込められてんの…俺さ

イヤなんだ………。

死ぬ時はいつか必ず来るんだし

人生に後悔したくない……幸だってそう思うだろ。」



「うらやましいよ。それは睦月があたりまえにこうして家族の中で

主張できるからでしょ?私にはここに閉じ込められて生きるしか

今は何もできないから……。早くここから出て そうやって

強く歩いてみたい……。」



「恨んでる?おやじたちのこと……。」



睦月の言葉になんて返そうか一瞬考えた。



「感謝……しなきゃだめでしょ。こうして学校で勉強させて

ご飯食べて 部屋や寝るところを確保してもらって……

それ以上求めさえしなければ…あきらめなくちゃね……。

ただ悲しいのは 叔父さまが父親にそっくりなこと……

全然違う人だってことかな……。」



「幸のおとうさんってどんな人だった?」



「もう記憶もあいまいだけどね…優しくて温かくていつも笑ってた。

三人でいろんなとこ行って うん

きっと幸せを絵にかいたような家族だった。

だからここに来て叔父さまを見た時 父が生き返ったって

錯覚したけど…叔父さまが私を見る目は 冷たいんだよね。

何が合ったのか知らないけれど……。

それがこたえるかな~~」




「悪いな幸。」



「睦月さんが謝ることじゃないわ。

私の人生がこういう人生なんだから仕方ないわ。」



睦月がどんどんたくましくなって

この家族の中でこうして話ができるようになってきた。



「俺が・・・・・」




「ん?何?」



「あ…いやなんでもないよ。」



「人生楽しむのはいいけどあんまり心配かけない方がいいよ。」



「ほどほどに楽しむよ。

もう籠の鳥ではいたくないんだ。」



睦月の言葉が心に残った。



  籠の鳥・・・・・・




睦月がうらやましいと思った。



「そうだ……最近さ 幸 めっちゃキレイに見えるんだけど?

俺の気のせいか?」


睦月の言葉に思わず頬が緩んだ。



  愛されてるから……



「な・・・こと言ったって何もないよ~でもありがと…

私だって女だからね。」



私はわざとに明るく流した。

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