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呪い~五話~

嫌がらせはちょくちょくあった。

いつの間にか凛がクラスの中で一番力のある子になっていた。



ランドセルがピンク色だと

目をつけられて 私は凛のイジメの対象になっていた。



「園の子」


私を呼ぶ時 凛はそう呼んだ。



  負けるもんか……



私は口を開かずただ凛を睨みつける。



  大嫌い………


凛が力を持ったと言う事は私は浮いた存在になっていた。

クラスの人から話かけられることはなくなって 孤独だった。

幼稚園の時はたくさんいた友達

ここにこなかったら私は 友達に囲まれていつも元気に笑っていた。



自分の声を忘れそうになる。

一日何回声を発するだろう……。



凛の嫌がらせには絶対屈するもんか。

勉強だけは絶対に負けない。

授業に集中するしかない学校生活だったから……

凛は勉強が苦手のようだったから 静かに優越感に浸る。



正面玄関に黒い車が止まった。

凛はいつも車で登校していた。

いつものように凛が出てきた。

それからもう一人 車から出てくる。

ピンクのランドセルを背負ってお人形さんみたいな

可愛い女の子だった。



「華子 早くいこうよ。」

凛がいらいらした様子で言った。


 

  あの子が華子



隣のクラスの 板垣 華子 は凛の従妹だった。


凛と華子

そして…私……

これから先 複雑な運命に翻弄されていく三人が出会う。




「あ……」私に気がついて凛が立ち止った。



「ほら華子……あの子よ。例の園の子のくせに

ピンクのランドセル持ってる子……。」



華子が私を振りかえる。



キレイな顔立ちをしている。

だけど冷たい目をしていた。



「ふう~~ん……。」

そういうと華子は興味なさげにまた向こうを向いた。



何か言われるとドキドキしたから

私は少しホッとしていた。



「ね?なんであの子・・・・・」凛が華子の耳元で

コソコソ言っている。



  また始まった……。


なんでそんなにピンクのランドセルにこだわるんだろう……。

確かにそんな色のランドセルを持っている人はいなかったけど

私は知らない人からのプレゼントだったから別に

これが欲しかったわけでもない………。


園の子になりたかったわけでも

この土地に住みたいわけでもなかった。

全てはあの呪いをかけられたことから始まっている気がした。



  帰りたい……


両親が眠るあの土地へ……。

あの家は……あの庭は……駆け回った園庭は……

笑いあった友達は……



ここでは一人……学校でも園でも孤独だった。

自分の殻を私はどんどん厚くしていった。

誰にも踏み入れられたくない……。



あの呪いは 本当に効力があるのだろうか……。

だとしたらこれからの人生は……幸せから見放された毎日になるんだろう




  パパとママのところに行きたい


そう思っても まだ幼い私にはどうすることもできなかった。

ただ…ただ…凛という存在と

必死で戦う毎日を送っていた。

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