愛される自信~四十七話~
学校での勉強は今まで以上に集中した。
勉強家の圭さんに褒めてもらいたい一心。
家での手伝いは 今までイヤイヤだったけど
圭さんのためにいつか 何かをしてあげられる修行だと思った。
料理に関しては もっと集中した
美味しいものを圭さんのためだけに作る
そう考えると この作業が一番楽しかった。
季節が輝いて見えた。
来年になったら この季節も一緒に感じられる
春も夏も秋も冬も 圭さんと一緒なら
どんなに素敵なんだろう。
雪がハラハラ舞いだした。
大嫌いだった冬は あの王子さまとの出会いから
神聖なものへと変わって行ったけど
圭さんを好きになったら
王子さまへの罪悪感も大きくなった。
いつか迎えに来てくれた時・・・・・
私が待ってなかったらガッカリするかな……
でも…今は圭さんのために輝きたい………。
王子さまの存在を静かに隠している。
いつものように学校帰りのことだった。
中学生のグループが向こう側から歩いてきた。
不良たちのようだった。
最近中学の評判がすごく悪くなって卒業生の私は胸を痛めた。
そこに通っている睦月を 叔父と叔母も心配していた。
次の瞬間私は目を疑った
そのかたまりの中心に あの睦月がいたからだった。
え?睦月・・・・?
家でのひ弱な姿からは想像できない 睦月の姿に
私は茫然とした。
睦月も私に気がついた。
一瞬困ったような顔をしたけど 笑いかけて手を振った。
「今 帰り?」睦月が離しかけてきた。
「うん……。」最近帰りが少しだけ遅かったけど
睦月は笑顔で図書室にいたと言っていた。
体力作りのために学校も送りも車はいらないと言ってたけど……。
「睦月 誰?」血気さかんな中学生が私と睦月の関係に注目した。
「俺のいとこ。」睦月はそう答えた。
「K高じゃん~~すげ~優秀だな~~
それにめっちゃ可愛いやん!!」
可愛いって……
その言葉についつい嬉しくなったけど
「睦月 だいじょうぶなの?」
「何が?」
「叔母さん心配してたから……。」
「楽しいよ。すっごく楽しい。」睦月が笑顔でそう言った。
笑顔があまりに輝いていたので
私はそれ以上は何も言えなかった。
「遅くならないようにね。」
「会わなかったことでよろしく~」睦月はそう言うとまた歩き出した。
思いがけない睦月の一面を見て
私は驚いたのと同時に
これから何かが起こるような気がした。
そしてそれ以上に
睦月の変化をまだ知らない叔父が これを知るのも楽しみになった。
家ではいつものようにひ弱な睦月を演じている。
目が合うと意味深に微笑んだ。
もちろん睦月は私がそのことを叔父に話すとは思ってないないし
そのつもりもなかったから
ひ弱だった睦月は少しづつ 男らしく変化していく。
そしてその中には叔父と同じ冷たさも育っている気がした。
半年の間で睦月は まるで違う子のように劇的に変化を遂げた。
ひ弱の皮を脱ぎすてる日は近づいていた。




