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動き出す運命~四十六話~

あの日 先に傷を自分でつねったからなのか

こんなに幸せな気分なのに不思議に傷は痛まなかった。


今までもしかしたらたまたま痛かったのかもしれない。



私は今までの人生の中で一番幸せだった。



「愛してる。」あの夜 圭さんとかわした約束を思い出すたび

胸がドキドキする。


あの圭さんが……

この家の誰からも愛される圭さんが

私を愛してるって言った。



凛や華子の陰湿ないじめは続いたけれど

私はそれをやりすごすことを覚えた。



あなたたちの大好きな圭さんはね…

私のことが好きなんだよ。

私と圭さんはキスをして 一年待ってろって言われたの。


優越感で一杯だった。

この二人がこの事実を知ったら

どんな悔しい顔するんだろうって…めちゃめちゃ楽しかった。



でも圭さんは絶対に気づかれるなって

そう言ったから 残念だけど教えてあげない……。



圭さんを手に入れたのは

この家に対する…叔父に対する復讐なのかもしれない。




圭さんの裏切りを知った時

叔父はどんな顔をするんだろう。

それならいっそ 派手に裏切ってやりたい……



私の心の底に淀んでいる復讐心が圭さんを手に入れたことによって

むくむくと大きくなってきていることを実感した。

純粋な気持ちで圭さんに恋をしてる。

これは真実だけど



でも…復讐心もここにはあるから。




学校帰り 公衆電話から電話をした。


お金がなくてニ 三分しかお話ができなかったけど

声を聞けるだけで充分だった。


「圭さんは ちゃんと食べろよ。」



「勉強しとけよ~」



「泣くなよ~」といつも言う。



「約束したから泣かないよ。

早く会いたいな。」私が言うと 



「バイト代ためてまたひょっこり行くかもよ。」と圭さんが笑う。



些細な時間だけど私にとっては幸せの絶頂だった。



それと同時に鏡の中の私は自分で見てもキレイになった気がした。



「幸ちゃん なんだか急にキレイになったわね。

彼氏でもできた?」

シノさんとナオさんにひやかされたけど



「デートする時間なんてないですよ。」と言うと



「ほんとね。それにしても幸ちゃんはエライと思ってるよ。」

二人がそう言ってくれてすごくうれしかった。



「ありがとう。二人にそんなこと言われたら

頑張ろうって気になります。

私は嬉しくて涙が出そうになった。



「泣き虫ね~」そう笑いながらも二人も


「ヤダ~おばあさんたちは涙もろいんだから~」

そう言いながら

三人でわんやわんやと 泣き笑い。



  私を認めてくれる人がいる……


それだけでも感動なのに・・・・・

あの空の向こう側に 私を愛してくれる人がいる


奇跡に感謝した。




早く会いたい・・・・・。



次に会う時はもっともっと幸を好きになってくれるように

自分磨きをしよう


高価な化粧水もいらない

今流行りのメイクやアクセサリーや洋服もいらない



今の私を磨くのには何が必要か

そんなことを考えてるだけでも幸せだった。

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