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動き出す運命~四十話~

K高は進学校だったから

入学してすぐに進路を決定するように言われた。


私は高校を卒業したら就職したいと言った。

担任は驚いた顔をして

「こんな時代に高校卒業して就職するほうが大学行くより難しいぞ。」

と言った。


「いろいろ事情があって……。」



「うん…角谷が叔父さんに遠慮する気持ちもわかるから

ただ奨学金という制度もあるし いろいろ考えて進めて行こう。

就職するなら商業や工業でも言って専門的な勉強でもしないと…

高卒は難しいぞ。」



担任はいい人だった。



学校にいる私は 家での私とは違う。

明るくて活発で 友達に囲まれて 積極的に過ごしている。

本来の私は・・・・このスタイルだと思うし……

ただどうしても難しいことはあった。



ドラマの話 携帯で交わされるメールの内容 学校帰りの寄り道や

土日の約束……。


新聞は叔父が読んだ新聞が新聞入れに入ると

それを持って部屋で隅から隅まで読んだ。

テレビ欄を見ながら 


「これが美穂が言ってたドラマか……。」


と一応確認したりして

テレビは見れないこともないけれど 

いつまでも休憩室で見てる気にもならないし



「ごめん~テレビとかあんまり見てないんだよね。」

会話が始まるとそう言って聞き役に回る。


華子や凛がティーン雑誌を読むようになって

読み終わった雑誌が新聞入れに何度か入っていた。



雑誌と古新聞は分別してあるのだけど

華子や凛は構わずのべつなく新聞入れに入れるから

シノさんやナオさんはブツブツ言いながら雑誌をよけていた。



  もう見ないのかな


私はそう思って何冊か部屋に持ち込んで読んでいた。

いろんなことを知った。

ファッションや髪の毛 持ち物 携帯電話や それから恋の話



私にはその中の一つも今の時点では

叶えられてなかったから情報だけは吸収して 少しでも

みんなの話について行きたいと思って

雑誌を読みあさっていた。



その中で今 華子が使っている乳液がとても素晴らしい事を知った。

私は洗顔のあとには 毎月千円のおこづかいで買った 安い化粧水で

肌を整えていた。



華子の使ってる乳液の効能が書いてある雑誌を見て

どうしても使ってみたくなったけど

でもおこづかいではそんな高いもの買えるわけがないとあきらめていたら


ある日ゴミ箱の中にまだ四分の一残った瓶が捨てられていた。



  まだ…残ってる…


私は嬉しくなって ゴミ箱から拾ってその乳液を部屋に持ち込んだ。



使ってみたらすぐにわかった。


「うわ~全然違うよ~~~」



吸いつく肌はすぐに モチモチになった。

私は少しづつ 本当に少しづつ大切に乳液を使っていた。



鏡の中だけでは 私はとても輝いている。



「幸・・・可愛い~~」自画自賛・・・・・・。



そんな秘密の楽しみに私は喜びを感じながら 過ごしている。



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