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動き出す運命~三十九話~

睦月は叔父と叔母が望んだ学校には行かなかった。

小学校を休みがちだった睦月は

それなりに家庭教師なんかをつけて勉強していたから

頭はよく そのままエスカレター式に

私立中学に入学させる予定だったらしいが

本人の猛攻により

近所の中学 つまり私の後輩として入学をした。



「担任がさ おまえの担任だった山瀬って言うんだけど…

なんかうざげだったよ。」


睦月はたまにだけど

私に声をかけてくれることがあった。



「そう?とってもいい先生だよ。」




「そうなんだ。それはおまえが優等生だったからだな。」




「睦月だって優等生じゃん。」 




「優等生ったってさ…学校行ってないし~」




「なんでこっちの学校にしたの?」不思議だった。




「おまえにだけは言うかな~

変わりたかったから……自分を好きになるため…かな…」




まだまだ幼い顔の睦月がそんなことを言うから

おかしくて笑った。



「なんだよ・・・。」ムッとした様子……。




「難しいこと考えてんだね。」





「それはそうだよ。俺だって人生楽しみたいし。」




「うらやましいわ。

その気になれば楽しめるじゃん。」




睦月はハッとした顔をして



「ごめん」と謝った。




  私には選択の余裕さえなかった。




「俺さ 生まれ変わりたい……。

もっと自由に自分のためだけに…。」




「恵まれてるって思ったけど睦月にもいろいろあるのね。」




「まあね。」



笑った顔が可愛かった。




睦月が何を考えてるのかはわからなかったけど

それなりに何かを手にいれようとしてるのだけはわかった。




  私はどうする?



「K高受かったからって調子乗るんじゃないわよ。」



夕飯の支度をしている私に遊びに来ていた凛が言った。

相手にしない・・・心を無にしよう

私は自分にそう言い聞かせる。



「頭がいいのだけが取り柄なんだから。」



そうそう華子と一緒にいつも叱られてるよね。



「勉強もっと頑張らないとダメだ」なんて……。

だって二人を見てたら忙しそうだもん

録画したドラマを見てないとか…おしゃれがどうだとか

凛は携帯も忙しそうだった。



私もきっと両親とそんな毎日を送っていたら

きっとここまで頑張れなかったと思う。

今ここにあるのは



見返してやる

そんな気持ちが私を支えている。




圭さんだって頑張ってるんだから

私も褒めてもらえるように頑張ろう



いつかきっとまた会える圭さんに

胸を張って会えるように




それが今の私の生きる道だった。                           

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