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プライド~三十六話~

「優しくなんかすることないのよ。」

華子が圭さんに言い寄った。



「してないよ。ちゃんと悪いことは悪いって教えただろ。」



「華子が見てないところでどうせ

優しくしたんでしょ?」華子は口を尖らせた。



「ねえちゃん…異常だよ……。」

普段口を開かない睦月がつぶやいた。



「何が?」



「だってさ…嫉妬深過ぎ。凛なんて相手にしなきゃいいよ。

圭くんは絶対あんなの恋人にしないよ。

ねえちゃんもだけどね~」睦月は普段 あまり話さないけど

家族のやりとりをすごく冷静に見てる。


この冷たさは 絶対叔父譲りだなって思うところたくさんある。



「最後が気にいらない。」

そう言うと 華子は思いっきり睦月を殴った。



「華子!!何するの!?」叔母が悲鳴をあげた。



まだかかって行こうとする華子を叔父が止めて

圭さんが睦月を抱き上げた。



「今日は凛を見てガッカリした。

華子まで俺をガッカリさせるのか?」

圭さんが言うと 華子はハッとしたように首を振った。




「ごめんなさい ごめんなさい……

睦月 ごめんなさい……。」

華子は慌てて睦月に駆け寄ったけど 睦月は圭さんの肩から顔を

はなさなかった。



「圭・・・華子も凛もあなたのことになると

おかしくなってしまうのよ。悪くなる一方よ。」


叔母は頭を抱えた。



そんな叔母を叔父が肩を抱いて

「大丈夫だよ。ひさしぶりに会ってそれが突然だったから

華子も混乱してるだけだよ。」


叔母に話す言葉の優しさはいつ聞いても感心する。



子供たち以上に叔母には優しい顔をする。



「悪いな圭・・・・せっかく喜ばせに来てくれたのに…。」

叔父は圭にも優しい顔をする。



「すみません軽率でした。」



「そんなことはない。

おまえは俺の大切な家族だ。いつでも

どんな形でもここに帰ってきてほしい。

そのうち華子や凛も年頃になって 他のことに興味を持てば

喧嘩もしなくなるさ。」




「はい。」圭さんの顔が暗くなったから

華子が大慌てしていた。



「うれしかったの、うれしくてうれしくて

圭くん一人占めにしたくてわがまま言っただけなの。

ごめんなさい……そんな顔しないで…

圭くん傷つけたら華子生きていけない……。」


そう言うと叔母に抱きついて子供のように泣き出した。



「圭・・・・」困ったように叔母が圭さんを見上げた。




「わかったよ華子・・・。

だけど俺のことでそんなに怒ったりしたらダメだぞ。

睦月には関係ないんだからな。

他の家族やお手伝いさんたちにもだ……。

約束できるか?」



「はい…わかりました。」



「忙しくてあんまり返事はできないってことを承知してくれたら

パソコンのアドレスを教えるからメールしよう。」



華子の顔が華やいだ。



「ほんと?」



「その代わり返事が遅れたりしても絶対に怒らないって約束するか?」



「うん うん 約束する。

そしたら寂しくないもん……。」



「学校にもちゃんと行けよ。

両親困らせるな。わかったか?」



「はい ちゃんと頑張ります。」



「睦月と凛にも教えるからな。

二人とも同じ条件だから。」



「凛にも?」少し表情が暗くなったけど



「問題あるのか?」と優しい表情に変わった圭さんが言うと



「全然ない~~」そう言ってまた叔母に

今度ははしゃぎまくって抱きついた。



睦月と目が合った。



睦月は呆れた顔をしてまた圭の肩に 顔を埋めた。



この家の人はみんな 圭さんを愛してるんだなってうらやましくなった。



  どうしたらそんなに愛されるの?

そう聞いてみたいと思った。

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