表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/190

プライド~三十四話~

「華子のおかげでこんなに帰るの遅くなった。」


睦月が怒りながら入ってきた。



「おかえりなさい。」


私たちは口を揃えて言った。



「ごめんなさいね……。

すっかり遅くなってしまって……。

華子と待ち合わせしてたら もう全然来なくて……

あら?もう夕飯の用意なの?」



叔母がセッティングされているテーブルを見て

不思議そうに言った。



「よぅ!!睦月!!」


元気な声にみんながふり向くと

圭さんがにこやかに微笑んで立っていた。



「圭くん!!!」

普段は顔付きを変えない睦月がビックリしている。



「大きくなったな~」

睦月を高く抱き上げて



「もう…抱くのは限界だな~」と言った。




「圭!!どうしたの突然!!」叔母も驚いている。





「圭くん!?」華子が圭さんに気づいて大きな声をあげた。




「よ…わがままおじょうさまの登場だな。」




「あ…嘘…圭くん…」華子は感動しているのか声が震えていた。




「両親を心配させてたんだってな。」



華子は圭さんの胸の中に飛び込んだ。



「だって…圭くんがまた遠いとこに行くって言うから……

また会えないから…どうしたの?突然でビックリした。」



「華子と睦月に会いに来た。

またしばらく会えないから いい子にしてるように言いに来たよ。」




圭さんは華子の頭を優しく撫ぜた。



私は思わず嫉妬のような気持ちに

なっている自分に驚いた。



「もう子供扱いしないでよ。」




「俺にとってはおまえらはいつもかわいい妹と弟だからな。」




「妹なんかじゃないもん……」華子が圭をにらみつけた。




「圭!!どうしたんだ!?」

叔父の嬉しそうな声にまた驚いた。



圭さんは華子から離れて叔父の方に向かった。



「ご無沙汰してます義兄さん。」



「また男前になったんじゃないのか?」

眩しそうに目を細める。



 この人でもこんな顔するんだ……。



「明日発つから そのまえにみんなの顔見に急きょ寄りました。」



「おう!!そうかそうか~~

シノさん お酒持ってきてくれ~成人したし堂々と飲めるな。」



「する前でも飲めましたけどね。」



叔父は圭さんの肩を抱いてダイニングに座らせた。



「お食事も運びますね。」シノさんの合図に私も料理を運んだ。



華子はすかさず圭の隣にひっついて座った。



叔父と圭さんは学校の話や勉強の話に盛り上がり

叔父はとても上機嫌だった。


圭さんを囲んでこの家の住人がみな優しい表情になっている。



「急なことで忙しい思いさせたわね。

どうもありがとう。」



叔母がキッチンに来て頭を下げた。


「いえいえ私たちも圭さんに会えてうれしいですよ。

本当に四年会わないだけであんなに大人になられて

奥さまも少し安心されたんじゃないですか?」



「見た目は変わってもね…あの子はいつまでも子供にしか見えないわ。

こうやって急に来たりするとこも…あの子には

ビックリさせられっぱなしで…全く何を考えてるのか……」


そう言いながらも叔母は嬉しそうだった。



圭さんっていう人の存在が

ここの家の太陽だって知った。



華子は圭さんにしがみついて離れない。

うらやましいなって思った。

私ももっと圭さんと話したい…そう思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ