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折れる心~二十話~

「それから…あなたの隣のお部屋には

いかなることがあっても入ってはいけません。」



私の横の扉を指さしてそう言った。



「もしあなたがこの部屋に入ることがあれば

また園に戻ってもらうことになりますから

ここのお掃除は私以外は入れません。」



「はい……。」

よくはわからないけどとりあえずそう答えた。



とりあえず荷物を置いてまた一階に下りて

素晴らしい家の中を見て回る。



ここには子供が二人いるようで

私と同じ小学生なのかなと思った。



一階の奥には 叔父の書斎と会議室のようなものがあって

また私はおどろいた。



「旦那さまは 本当に仕事熱心で素晴らしい才能の持ち主で

だからと言って仕事ばかりじゃなくて

家庭も大切にされるから本当に理想の男性だと思うわ。」



シノは少し頬を赤らめた。



「奥さまは体が弱い方で お休みになっていることが多いから

そんな時は気をつかってあげてほしいの。」




私は小学生なのに シノの説明はけっこう難しい



  気をつかってほしい ってどういうこと……



「ここには 小学生のおじょうさまと

幼稚園のおぼっちゃまがいるんだけど おぼっちゃまの方も

体が弱くて……そんなこともあって奥さまも気が滅入っているの。」



素晴らしい部屋の説明を受けた。

私にとっては夢のような世界だった。



「今日はご家族は地方にいらっしゃる奥さまの弟で

今 高校生の圭さんのところに遊びにいっているの。

明日の朝戻っていらっしゃるから 今日はゆっくりお休みして

明日から頑張ってちょうだいね。」



シノのいっていることはやっぱりわかりずらい。



「今まで お手伝いとかしたことあるの?」



「ないです。」



「これからはお手伝いたくさんしてもらうから

それがここでお世話になる幸ちゃんの仕事だから。」



「仕事?」



「そうよ。さっきも言ったけど

ここで全てお世話になるんだから 幸ちゃんは

それなりにお返ししていかなければいけないでしょう?

旦那さまからは学業は優先にしてくれと言われてるけど

幸ちゃんにはこれからこのようにして動いてもらうわね。」



そう言うと一枚の紙をくれた。



そこに書かれていることに目を疑った。



朝食の準備の手伝い

起床時間は6時



朝食 7時



それから学校に行く用意をして 学校に行って

帰ってからすぐに宿題と明日の時間割を揃える時間は一時間



それから夕食の手伝い



夕食 6時



夕食後の片づけ



シノやもう一人のお手伝いが帰ってからの雑用

最後にお風呂に入るから 風呂掃除



9時 部屋に戻って

10時には寝る



休日も同じだけど

学校行かない時間は お掃除や昼食を手伝うことになっていた。




「これ・・・・・」


思わず声に出てしまった。



  私は家族じゃなくてお手伝い?



「何?」シノが言った。



「あ……いえ……。」



「いろいろ苦労しているのにこんなことは言いたくないけど

これからわかることだから ハッキリ言っておくわね。

自分の存在をちゃんと理解しないと この先悲しいこともあるかも

しれないから…あくまでもお世話になる

だからお返しする……そう思ってこれからやっていって。

幸ちゃんはまだこんなに小さくて子供だけど

ここでは甘えはないから……ちゃんと区別つけて

私たちも接するようにと旦那さまにも言われているの。

悪く思わないでね。」



シノが私の言いたいことを察したのか そう言って私の荷物の

片づけを手伝ってくれた。



  私はここの子供になったんじゃないの?



そう聞きたかったけど口を閉じた。



その回答を聞くにはあまりに不安感が大きかったから……。



「テレビが見たかったら見てもいいけど

とにかく幸ちゃんが自由にいられるのはここだけだから。

あとお風呂はいつも最後に入るようにしてね。

下の方は 仕事以外一切手を触れないこと。

それから隣の部屋もね。

今は誰もいないけれど……あそこは圭さんのために作ったお部屋なの。

圭さんが帰っている時はなおのこと気をつけて

おじょうさまたちが目を光らせていて

私なんかでも 圭さんと仲良く話なんかしてたら

すごい目で睨まれるから。」




  圭さん……どこかで聞いたような……




大きなキッチンだった。

シノがあるものを説明してくれるけど

さっぱり覚えられない。



「もう少し大きくなったら幸ちゃんにここ

任せるからね。」



シノは大きな体を丸めて私に夕飯を作ってくれた。




「食べましょう。」



キッチンの隅に小さなダイニングがあってそこで

シノと一緒に食べた。



「好き嫌いはない?」



「はい。」



「よかった。家の人と同じものって言うわけにも

行かない時があるから……。

私たちは夕飯をここでいただくのよ。」




  私も・・・・?




シノたちがここで食べるんだと私は思うようにした。

だってここの叔父さんは

パパの双子の兄弟なんだもん……




  早く会ってみたいな…パパと同じ顔



ドキドキするけど期待の方が大きかった。




今日は家には誰もいないから シノが泊まってくれた。

シノは布団に入るとすぐにイビキをかきだしたけど 私は

興奮してなかなか眠りにつけなかった。



  これから どうなるんだろう私……

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