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幸せのティアラ~188話~

眠っていると部屋がノックされた。

昨日は 夕方おひらきになって 早くに眠りについたはずだったのに

睦月の突然のプロポーズで パニックになって眠れなくなった。


「明日一日 俺に幸の時間ちょうだい。」

睦月はそう言うと 私から離れて行った。


時計を見たらまだ・・・・0時・・・。


  さっき寝たばっかりだけど・・・・・。


フラフラになりながら ドアを開けると

睦月が立っていた。


「む・・・睦月 どうしたの?」


「出かけるよ。」


「出かけるって…まだ早いよ。寝たばっかりだよ。」


「俺の貴重な時間だからね。どうしても一緒に行きたいとこがあるんだ。

車で寝てていいからさ とにかく車に乗って。」


「だって化粧も何にもしてないのよ。」


「いいって ただあったかくして。

車で待ってるから。」


寝ぼけが一気にふっとんで とりあえず化粧道具は持って

スッピンのまま 睦月の車に乗り込む。


「温めておいたから…寒くないだろ?」


「うん。それにしても強引だよ。どこに行くの?」


「幸に見せたいとこがあるんだ。一緒に行きたいって思ってた。

とりあえず 寝ていいよ。」


寝られるわけがない・・・・。


だけど昨日のプロポーズの後で会話もぎこちない気がして

私は睡眠に逃げる。


睦月はCDの歌を口ずさみながら 車を走らした。

そのうち 完全に眠りに引き込まれて私は夢を見た。


圭が笑ってる。


「会いたかった。」私が言うと


「うれしいよ。」圭が言った。


「何が?」


「幸が幸せになってくれて…すごくうれしいよ。」


「幸せ?圭がいないのに?」


「睦月がいるよ。睦月なら 幸を幸せにしてくれるから。

もう安心だ。この世界では俺は 幸を幸せにできなかったから・・・・

睦月に託したんだ。」


「託した?私の気持ちはどうなるの?勝手に決めないでよ。」


「大丈夫だよ。幸も・・・睦月のこと頼りにしてると思うよ。

睦月のこときっと 愛し始めてるって。」


そんなこと わからないから・・・・



ゴツン


「痛い!!」


頭を窓に強打して 目が覚めた。


「大丈夫か?ごめんな。」


目が覚めると 睦月と目が合ってドキドキした。


  圭が夢の中で 変なこと言うから・・・・


頭を撫ぜながら「ここどこ?」と話を変えた。



「え~~~!?占冠って!?どんだけ遠いとこ…え?」


「ゆっくり寝てくれたからよかった~~。」


「スピード出したんじゃないの?」


「まぁ ちょっとね。」



睦月のいうままに車を降りて ゴンドラに乗った。


「うわ…すごい…。」初めて見る 風景に私はすっかりテンションがあがった。


「睦月・・・・こんな朝早く何あるの?」


「運良ければ 雲海が見られるよ。」


「雲海?」


その言葉に 周りもざわざわし始めた。


「見られるといいよね。」


カップルもたくさんいた。

私は 雲海と聞いてもよくわからなかったから

後は静かに ゴンドラからの風景を楽しんだ。


初めてだった。



「見れるといいな。」睦月が笑った。



朝日でオレンジ色に空が染まり始める。


「きれい・・・・。きれいだね・・・・。」



感動で胸が一杯になった。

睦月の顔が オレンジ色に染まって ドキンと胸が鳴った。


  圭がおかしなこというから・・・・・。



私は愛し始めてる?



睦月のこと・・・・・・・・。



横顔の睦月はもう 弟ではなく 一人の大人の男に見えた。

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