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涙色ティアラ~184話~

生きて 生きて 生きて行こう・・・・・。


そう決めて あれから何度 圭と出会った淡雪を見ただろう。

「まだ 生きてるよ。

圭との約束 ちゃんと守ってるでしょ?」


私は 空からおちてくる淡雪を手にしながら 圭と話しをする。

淡雪はすぐに手で溶けてべちゃべちゃになって消えてしまう。


もうすぐ春が来るよ・・・・。



板垣の家で暮らし始めて  まるで娘のように大切にされている。


おじは父のように そしておばは母のように

華子は姉妹のように……そして睦月は弟のように・・・・。



華子に子供が生まれて よく実家に来ては 芹沢さんがおじと

帰ってきて 一緒に食事をして 帰って行く。

その間に 子供たちのお風呂は私の仕事になっている。


子供って可愛い・・・・。

純真無垢の笑顔に癒される。


「幸 もうあがる?」


おばがスタンバイして待ってる。


「はい 夢ちゃん いきま~~す。」


おばは素早く 夢ちゃんの体を拭いて リビングで待つ 華子にバトンタッチ。


「次 翼くん いきますよ~~。」


私もすっかり お風呂にいれるのが上手になった。


私には子供はできないだろうから 華子の子供たちと触れ合えるのは

幸せだった。可愛くて愛しくて……

そして二人とも よくなついてくれていた。


「ありがとね~~。」華子がビールを注いでくれた。


「ここにきたら 楽してない?華子~~。」


「実家来たら普通楽するでしょ。」



芹沢さんとの夫婦仲もよくて うらやましい。


「幸も……早くいい人見つけたらいいのに。」


「うちは…一人でいいかな。」


「そんなこと言わないでよ。幸には幸せになってほしいんだよ。

圭くんもそう思ってるよ。」


「うん。わかってる。ずっとその後を気にしてたから。

まだまだ 私が圭を忘れられないもの。」


「幸を負けないくらい愛してる男の存在にも気づいてほしいわよ。」


「え?」


「ううん~~。そういえば凛も結婚するらしいよ。」


凛は圭の葬式が終わって一カ月もしないうちにアメリカへ留学した。


「もしかしたら 外人さん?」


「そうよ。外人だって~~凛 やるわね~~。」


凛とはまだわだかまりを残したままだった。

私のことを受け入れるとは思っていないけれど 少し心残りだった。


「お店やるの?」


「まだ考え中なんだ。それが本当にやりたいことなのかなって

思うとまだ気持ちが決まらないの。」


「やりたいことじゃないんだよ きっと。」


「うん・・・・。」


また会社に戻って 店長のところで拾ってもらえた。

働くしかないから 働いたら 成績がよくて 店長として店を任したいと

言われてるけれど まだ決心がつかなかった。


でも これからも一人で生きてくことになるだろうし

一生食べていけることを考えなければいけない。


めずらしく睦月もやってきた。

私を避けてるのか…めったに来ないのが申し訳なかった。


「またねえちゃん 来てんだ。」


「ひさしぶりね~睦月~~。仕事どうなの?」


睦月は 圭の遺言どおり 今はおじの会社で働いている。


「修行は辛いよ。親父は鬼だからな。」


「誰が鬼だって?」芹沢さんとお酒を飲んで すっかり楽しそうに 寄ったおじ


「俺は幸せだよ。こんな立派な後継者がいてくれるんだ。

安心していつでもいけるよ。」


「何を言ってるの これから一緒に旅行とか行かないと。

早く二人に任せてフランスとか行ってみたいわ。」


おばが美しい笑顔で微笑んだ。


夢ちゃんは おばが大好きで 


「夢ちゃんも おばあちゃまと一緒に行くよ。」愛くるしい笑顔で

みんなを癒した。



幸せだった。

圭を失って辛かったけど・・・・今この幸せは 圭が私たちに

残してくれたプレゼント・・・・・。



だけど この幸せな笑い声が消える日がやってきた。



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