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涙色ティアラ~178話~

みんなが後ろ髪を引かれるように 帰って二人っきりになった。


「今日は最高の一日になった。」


「本当だね。私もうれしかった。」


「幸・・・・キレイだったな。」


「ほんと?よかった。私もけっこう年くってるから。」


「ほんとならさ 今夜は愛し合うんだけどな。

こんなに心の中 やらしさで一杯なのに……もう体が…ダメだな…。

この夢だけは…かなえてもらえそうない…。」


圭が苦笑した。


「それだけが全てじゃない。こうしてそばにいられて

同じ空気を吸って 会話して…私はいつでも 気持ちがいいよ。」


圭がまた 涙を流した。


「死にたくない…幸…死にたくないよ。

やっとこの手に愛した人を手にしたのに…なんて残酷なんだろ。

俺はその大切なものを永遠に失ってしまうんだ……。

幸に哀しみだけを残して……。」


「愛してるわ。一生かけても圭だけよ。」


「ダメだ。一日も早く新しい恋を見つけて

幸せになってくれ。一人で生きてきたんだ 幸には

温かい家庭を作ってほしいよ。」


圭の流れた涙にキスをした。



「わかってるから…ちゃんと立ち直れたらそうする。

だからその後のことはもう 圭は心配しないで。」



「ありがとう・・・・。」


「今は今を大切にしよ。」



圭の痩せこけた顔にキスをしまくった。



顔を見合わせて 吹き出した。


「幸は強くなったな。」


「あたりまえよ 年季が入っているんだから。」



圭は細くなった手を私の胸に近づけた。


「え?」


「触りたいんだけど・・・・いい?」


圭が恥ずかしそうにしてるから 私も恥ずかしくなった。



立ち上がって 廊下を確認して慌てて戻ってきた。


「大丈夫……。」私が言うと


圭が悪戯っぽく微笑んだ。



体に触れたいなんて 初めてだった。

キスはもう数え切れなくしているけれど…圭の手がTシャツの下から

滑り込んでくる。



私はその感触を目を閉じて感じる。



静かな時間だった。愛し合ったあの日々が浮かんできた。

圭に愛されるたびに 女になっていった。



圭の指を心でも体でも頭でも…受け止める。

いつしか頭の中が無になって 甘い吐息をはいてしまう……。



昂りを抑えるように口を手で押さえた。

のぼりつめて のぼりつめて 私は圭の胸の上に倒れ込む。


「幸?気持ちよかった?」圭の甘い声


「いじわる・・・・。」


今度は熱いキス 一つになるキスでお互いを求め合った。

私はまた 頂点にのぼりつめる。



ただ静かに抱き合った。


「ごめんね 私だけ…気持ちのいい想いしちゃって・・・。」


「俺も 充分気持ちよかった。幸と一緒にいけてよかった。」



裸で愛し合えなくても 充分だった。


心が固く結ばれてるから……。


「よかった・・・・。今日 俺 元気でいられた。

みんなにもお礼が言えたし 幸を感じ合えたし……最高だったな。」


「私も最高だった……。」


あんまり乱れて恥ずかしくなった。



「可愛い・・・・幸・・・・・・。」


「圭の前では いつでも可愛いでしょ?」




また抱きしめ合う。

キスして 抱き合って・・・・愛を囁き合う・・・・。



こんなゆったりとした時間はきっと神様のプレゼントだと思った。



そう一瞬だけの圭に残された 最後の時間だった。


また同じ朝を迎えられると思っていた私に・・・・

もう圭は おはようって 笑ってはくれなかった。



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