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悲しい再会~171話~

圭との静かな時間

語り合い 寄り添い合い 

多分 人生の終わりに近づいた 年老いた夫婦ってこんな感じなんだろうか。


ただわかってることは

圭が私よりずっと早くに この世からいなくなってしまうこと。


それが明日なのか一か月後なのか 一年後なのか・・・

その日が来ることを 私は怯えていた。


圭が笑って別れたい



そう望んでいるなら 私は満面の笑みで 圭を送りださなければいけない。



できるだろうか・・・・。



圭は私の人生の全てだった・・・・・。

あの淡雪の日


私を一瞬でもお姫様のように扱ってくれた王子さまだった。


いつか迎えにきてくれるって信じて待っていた。

やっと再会して愛し合って 


だけど別れて・・・・・

そして今こうやって 悲しい再会をした二人が


行きつく先は永遠の別れ・・・・・・。



その最後の時まで 私は圭に 何がしてあげられるんだろう。



「幸さん。」


主治医に声をかけられた。


「日高さん 頑張ってますね。

今は 外泊がしたいって 前向きに治療も受けてくれてます。」


「先生 明るくふるまっているけど 私にはどんどんやつれてきてる気がして…。

どうなんでしょうか…。」


「病は気からです。今は 気が元気にしてくれているんだと思います。

病状はあまりよくはありません。でも・・・あなたが来てから

日高さんの寿命は間違いなく伸びたと思います。

なんとか 日高さんの願いの 外泊を叶えてあげたいって

思ってますから。」


「やっぱり……あまりよくないのですね。

無理して元気に振る舞ってるのかなって…。」


「いいんですよ。日高さんがそうしたい そうありたいと望んでます。

だからあなたもそう思って接してあげて下さい。

顔色が悪くても 元気そうと……嘘でもいいですから…。」


「わかってます・・・・・。

でも……やっぱりつらいです。」


「お辛いのはわかりますよ。でも一緒に頑張りましょう。

札幌のお義兄さんからも連絡が来て 今週末会いに来るようです。

僕も なるべく早い方がいいとお伝えしました。」


「そうですか。」



とうとうおじとおばがやってくる・・・・。



私は頭が一杯になった。

ここに私がいることをどう思うんだろう。

また 罵られるのだろうか・・・・・。



でも 今はどんなことがあっても 絶対に圭のそばを

離れることはできない。



乗り越えよう。

あの二人を乗り越えればきっと 何かが変わってくる。



「幸 どうした?」圭が 私の頬に指を指した。


「週末ね 板垣のおじとおばが来るみたい。」


圭の表情が少し曇った。


「ねえさん少し 精神的にやられてるって睦月が言ってた。

俺も気になってたから・・・幸にはまた 辛い思いさせるかもしれないけど

今度は俺が守ってやるから 安心しろ。」


「うん 安心してるよ。

もう絶対 離れないからね。」


「おう!!!」


圭がニッコリ微笑んで私を強く抱きしめてくれた。


骨がゴツゴツしてて・・・・折れそうな圭の体・・・・・。



「頼りないか?」


「バカね。どんなヒーローより逞しいよ。私には・・・。

圭は 私の王子さまなんだから。」



いつこうやって抱きしめてくれなくなるんだろう。


孤独感 恐怖感 圭を失うのが怖い・・・・・・。

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