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悲しい再会~170話~

病院に行くと 睦月が来ていた。


圭は最近 調子がいいようで 病室には笑い声が響いている。


「幸 圭くんからさんざんのろけられてさ……。」


「あら 私ものろけたいのに?」


「もう勘弁してくれよ。」睦月の大げさなポーズに三人で爆笑した。



しばらく三人で楽しく話して 睦月が帰るというので

玄関まで送っていくことにした。


「今日はありがとうね。圭があんなに笑うのは睦月だけだから

私も楽しかった。また来てね。」


「圭くん ずいぶん痩せたね。」


「調子はよさそうなんだけど…痩せてきたよね。」


私は悲しくなって目が潤んできた。


「ごめんな幸・・・。俺はずっと考えてる。

この橋渡しは幸にとっては地獄だったろうに……俺はひどいことしてしまったって。

だけど圭くんがあんな風に 元気に笑うのは

やっぱり幸の魔法がないと無理なんだ。

俺はあんまり愛とか くさいもの 信用してなかったけど

でも圭くんと幸を見てると…愛って…すごいなって……。

あんなに生きることを拒否してた 圭くんが

幸に再会して…未来のことを語ってる。なんか感動した。」


「悲しいこともあるけど 睦月には感謝してる。

もし後で圭が この世にいないって知ったら 私は後悔しまくってたもの。

私たちの愛は…真実だった。

だから…精一杯 愛し合って過ごしたい。

後悔しないように…圭の最後の瞬間を 笑顔で見送ってあげる約束守って…。」



睦月が私の髪の毛を直してくれた。


「幸は・・・・女神さまみたいだな。」


「そんな素晴らしいもんじゃないわよ。

圭を失った後の自分を考えることが怖い…臆病ものだから。」



「とうさんとかあさんが・・・・来週来るらしい。」


「私のこと話した?」


「いや。」



圭の見舞に来るという おじとおば・・・・・。

私はどんな顔をして 二人に会うべきなんだろう・・・・。



「俺から話しておくから。それでいい?確認しておきたかった。」



「ううん。私が自分で言うから。」


「大丈夫か?かあさん 幸にひどいことしたんだろ?

呪いかけたとか 傷あと残したとか・・・・。

怖くないか?俺も来たいんだけど とうさんとあんまり話たくないんだ。」


「大丈夫よ。」



「圭くんが元気になってるから驚くよ。」


「そうね。喜んでもらえたらいいわ。」



睦月を見送って 病室に戻ると 圭は眠っていた。

一瞬 背中が寒くなって 私は慌てて駆け寄って確かめる。



大丈夫・・・・まだ生きてる・・・・・。



圭の寝息を耳にしながら 愛しい人を抱きしめる。



「圭・・・・・ずっと一緒にいたいよ・・・・・。

もう離れるのは・・・・絶対にイヤだよ。」



やっと王子さまが 迎えに来てくれたのに・・・・・・。

もう別れはそこまでやってきている。




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