出会い~十七話~
玄関で凛と華子に出くわした。
さっきのこともあったから正直会いずらかったけど
もうどうせ今日でおさらばだし
堂々としてよう 自分を好きになりたいと思った。
「どこに引越しするの?」凛が言った。
「知らない~」
「どこか親戚にでももらわれたの?」
「知らない。別にあんたに言わなくていいし…」
「調子乗ってんじゃない?ずい分。」
「乗ってないもん。」
私は靴を出して履き換えた。
「車きたよ 凛ちゃん。」
華子が言った。
この際だからもう一言言わずにはいられない。
「このランドセルあんたが隠して
汚くしたんでしょ?みんな犯人はあんただって知ってるよ。」
凛が驚いた顔をした。
「あんたしか……いないじゃん……。」
「バカじゃないのl!?」
あきらかに動揺してると思った。
「どんなにキレイにしたって 性格が悪いから
可愛くも見えない。」
言ってやった~~!!!
「な…何よ!!!」
凛の手が頬に入って
乾いた音が鳴った。
「痛い……」私は手で頬を覆った。
叩いてやりたいのは私の方だ。
私はすかさず凛の頬に同じように平手打ちを喰らわせる。
「頑張れ~~さっちゃん~~」
数人のクラスメートが声をあげた。
「何よあんたたち!!」
凛と仲良くしていた人たちだった。
「やっとあんたと離れられてせいせいしたよ。
あやたち大キライだったの。
やなこといっぱいされたもん。」
「ね~~。」
三人が顔を見合わせて声を合わせた。
「その性格なおさないと向こうで友達もできないよ。」
凛は紙袋を地面にたたきつけた。
「おじょうさまなのほんと?」
私も思わず吹き出した。
「車来てるけど 凛ちゃん。」
いつものように華子が動じない顔で言った。
「あんたたち…覚えておいてね!!!」
華子を押しつけて凛は車に飛び乗った。
そして二人を乗せた車が学校を去って行った。
悪魔が去った……
言いたいこと言えて私もうれしかった。
もうきっとあんな意地悪の人とは会わないよね。
新しい学校に行ったら 生まれ変わろう。
明るくて元気で
いっぱい友達に囲まれて
王子さまが 見つけてくれる女の子になるんだ。
やっと憑き物がとれた私は希望に満ちていた。