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悲しい再会~168話~

「睦月?」


私は骨骨しい圭を力いっぱい抱きしめる。


「もう 声も忘れたの?ひどい王子さまね。」


シーンと音がなくなって



「幸?」圭の声がかすれている。


「迎えにきてくれないから…来ちゃったよ。」


「なんで……。」


「もう…一緒にいたっていいんでしょ?誰かに文句言われるの?」


「睦月が呼んだのか?」


「違うよ。睦月に頼んだの。どうしても会いたくなった。」



圭は大きなため息をついた。



「俺はもう一緒にはいられなくなるんだよ。

これこそ裏切りのなにものでもない。

別れても幸の幸せをずっと祈り続けてきたのに…それさえもできなくなる。」

ひどい男だよな。」


「責任とってよ。」



私は骨と皮になった頬に 自分の頬を寄せた。


「ねぇ……神様が許してくれる時間を一緒に過ごしたいの。」


「また幸を泣かせるだけだよ。

もう来ないでくれ。俺は自分が情けなくて仕方がないんだ。

だからこんな姿の俺を幸の心に残すのだけは…絶対にしたくなかった。」


圭の肩が震えている。


「もう離れたくない。板垣の家のためにあきらめたけど

もう板垣もおばさんも何にも関係ないなら 幸 一緒にいてもいいでしょ?」


「幸・・・・。俺はもう時間がないんだ。

いつお迎えが来るのか 毎日毎日待っているだけなんだ。

俺がこの世からいなくなったら また幸が悲しむだろう?

もう終わりにしよ。約束通り また生まれ変わったら絶対に今度は

愛し合ってずっと永遠に…一緒にいよう。そんな希望だけ俺に持たせたまま

死なせてくれないか?」



「圭くんの想いどりにはさせない。

だって私…あの時だって我慢したんだよ。圭くんのために我慢したんだ。

それからだってずっと圭くんを忘れられなくて……

だからもういうこと聞かないから…。それが圭くんの責任でしょう?」


「幸・・・・そんなことしたら

俺は最後の最後まで 幸に甘えて生きることになる。」


「私だって負けないくらい…甘えるもの。

お願い許して。一緒にいること……。」



「ずっといい子にして待ってたんだよ。王子さま……。」



圭の嗚咽……。細い肩を震わせて声を殺して泣いている。



「幸……ごめん…約束 何回……も破って…ご…めん……。」


「一緒にいさせてくれるなら…許すよ。」



私の目からもたくさんの涙が零れ落ちる。



「生きて……少しでも二人で一緒にいられるように…生きて……。」



圭の前に回り込んで 頬のこけた顔を見つめた。


「愛してる…。どんなに季節が変わっても時間が流れても…

やっぱりここがいい。ここが私の居場所……。」


圭の体に静かに顔を埋めた。



「一緒にいていいよね?最後の瞬間まで…私と一緒にいてくれるよね?」


圭の顔を見つめる。



「うっ……う……。」圭は 激しい嗚咽だったけど



コクリとうなずいた。



「ありがとう。よかった会いに来てよかった。

やっとやっと…神様が許してくれたのね……。

もう絶対に離れないから……。」



真っ青な空・・・・・


真っ白な雲




「幸……ありがとう……。」


圭は涙声で 何度も何度もそう言って 私の髪の毛を撫ぜてくれた。


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