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新しい季節へ~164話~

「どうだった?角谷 昨日は?」


「店長…私には…ああいう感じの男の人はダメです。

やっぱり大人の男がいいです。

今日から また私らしく頑張ります。」


私はそう言っていつものように髪の毛を

一本にひっつめた。



「角谷がおちる男に会ってみたいもんだね。」


店長はそう言った。



どこかでやっぱり 求めているのは圭の姿だった。

同世代の男は物足りないし・・・仕事場ではライバルにしか見えないから



  私はもう恋なんてしないんだろうな。


それでもいいか……

そんな生き方もいいかなって最近思うようになってきた。


「お疲れ様です。」


今日は日曜日 店は忙しかった。

こんな日は 地下でつまみでもかって…お酒でも飲もうかな

そう思って玄関を出ると


「おつかれさん。」睦月が立っていた。


「ちょっと睦月……何してんの?」


「さっき店に電話したら あがったって言うからさ。」


「そうよ。帰るんだから邪魔しないで。

早く帰ってママ之言う事でも聞いて寝なさいよ。」


「いつまでたっても子ども扱いだな。幸は。」


「季節は流れたんだけどね……睦月も大人になったってことは…。」


「そうだよ。少しは俺のその後も聞いてほしいなって思ってさ。」


「昨日も言ったでしょう?板垣の家の人とはもう会いたくないんだ。

いい思い出もないしね。」



「俺はずっと会いたいって思ってたよ。

あの日の幸が…どんなふうになったんだろうってさ。」


睦月が生意気そうに笑ったから


「こんな風に生きてるわよ。」と言ってやった。



「睦月…もう行って。

後は 知りたくないから……。睦月と会ってたら余計なこと

聞いてしまいそうだから。」


「圭くんのこと?」


「そうだね。聞きたくないけど…聞いてみたい…。

だけど絶対に何も言わないで。」


自分でも矛盾してると思った。



私が歩き出すと 睦月が腕をつかんだ。


「何?もう話すことないよ。ほっといてほしいの。」



睦月の腕を払おうとした時


「ね・・・・圭くんに…会うべきだよ。」睦月が言った。


「どうして?会ったら辛くなるだけじゃない。

昔のこと掘り返したところで……悲しくなるだけだわ。」


「圭くんも…同じこと言った。」



圭が・・・・・・?

圭も同じこと言ったの?



「俺は……俺は…二人は会うべきだと思ってる。

会わないといけないって・・・そう思ってる。

後悔するぞ幸……。」


睦月の力がさらに強くなる。


「いつまでも圭くんの亡霊が幸をそうさせてるんじゃないのか?」


「あのね…。ハァ……。もうやめようよ。

今さら…圭さんに会ったところでね…もうあの日終わったことだから。

圭さんの辛い顔はもう…見たくないし……。」



「あ~~~本当にイライラするな……。

おまえたちさ…どんだけ相手のことばっか気してるんだよ。

会いたくて…会いたくて仕方ないんじゃないのか?

時間がないんだって……。

俺は この間 おまえに会えたことが運命だと思ってる。

そうするべきだと そうしなきゃいけないって……俺の役目だと思った。」



「何 言ってんの?睦月。

だいたい板垣の おじやおばだっていい顔しないわ。」


「あいつらのことなんか…気にすることないんだって。

昔のことに恨みつらみで 幸はなんの関係もない…圭くんだって……自由になればいいのに。」



睦月が何かを言いたいけれど

その最後が言えずにいるような気がした。



「睦月…圭さんと私が会ったらどうなると思う?」


「それは…悲しいのか嬉しいのか後悔するのかはわかんないけど…

お互い一歩を歩きだすのには…会うべきだと思う。

今が…その時期だって…俺はそう思っている。」



深呼吸した。


「後悔なら…もうしたくないよ。」


「でも…会うべきだと俺は思う。

会っておくべきだって……。」



  おくべき?


睦月の言葉に違和感を感じながら……私は圭に…会うべきなのかを考えていた。

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