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新しい季節へ~161話~

あれから何度あの別れの季節がめぐり 圭と出会ったあの雪に触れては

想いを募らせ……私は25歳になっていた。


一人で生きて行くために 私は必死で働いていた。

勉強もしてきた。

客とかかわることによって 何も与えてもらえなかった頃のように

新聞を隅から隅まで読んで 少しでも会話につかえることはないかと

努力をしてきて その甲斐もあって 

さらに高級洋服を扱う老舗の百貨店で働いている。



一着数十万する洋服を簡単に買って行く 勝ち組の奥さまたち

奥さまたちの一人一人のデーターを頭にたたきこみ

心をこめた接待をし 洋服を勧め そして購入させ お得意様にしていく。



店は全国に数店

ほとんどが社長の奥さま御用達の店だった。



「今月の売上も札幌店の角谷 幸 さん ダントツトップおめでとう。」



会社からの表彰も何回目だったか忘れた。


でも自分指名でいらしてくれる客には誠心誠意まごころをもつ

それが私のモットーだった。


「うちの息子の嫁になってほしい。」「いい縁談がある。」


適齢期もいいとこまできた私には 気に行ってくれた客から縁談を勧められるけど


「私は結婚には むかないタイプです。」そういってお断りしていた。



結婚・・・・・・。

圭と別れて……あの時 もう圭とは

王子さまとは一緒になれないと痛感した。


圭のとりまく環境を 圭が捨てられない それが答えだった。

これからも・・・それは変わらないんだろう。


でも……でも わかっていても 心のどこかで




王子さまを待っている  私がいる。



このまま年をとって 

王子がたとえ迎えに来なくても その時年をとりすぎて

誰にもふり向かれなくても…その時は一人で生きていけばいい。



そんな風に考えると なんだか気楽だった。

きっと来れない王子さまを 私は待っている……。



「角谷チーフって恋人っているんですか?」私に興味感心のある

後輩スタッフが店長に聞いている。


店長という人は男勝りで さっぱりとしてて だけど勝気で 私の憧れの人だった。

子どもが二人 夫は社長 それでも働くのは

自分自身がどこまでやれる人間なのか 知りたいからだという。


「さぁ・・・・直接聞いてみたら?」


「チーフには聞きずらいから…あんなにキレイなのに 恋人の話も

全然しないし……。」


「あの子は仕事に持ち込まない子だから。あんたちも見習いなさい。」


そう笑って話題をストップ。


  オーラーあるよな~~店長は・・・・。


店長の下にいるからこそ 今の自分がいる



今日もお得意様が 私指名で 御来店・・・・・・。

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