出会い~十五話~
王子さまとの出会いで好きになった冬がきて
そして私は春には三年生になる。
学校では 相変わらず凛からの嫌がらせはあったけど
自分を好きになるという
王子さまの言葉で自信を取り戻した私は
そんなに凛が気にならなくなったし
クラスの全部が凛の味方ではなくなったから
それなりの毎日を送っていた。
そんなある日のことだった。
凛と華子が転校することを知った。
心の底から私は嬉しくて嬉しくて 心が晴れやかになった。
なんでも大きな家を建てたとか……
凛が自慢していた。
「華子とは地下鉄で一つだけ離れたところなの。
家の方が都会だけどね。」
転校を知ってから私の毎日はさらに楽しくなった。
もう少し・・・・もう少しで
凛から解放されるんだ。
凛はもう新しい豪邸で頭が一杯の様子だったから
私のことも目には入らない様子だった。
「今度の家には 圭くんの部屋があるの~
ちゃんと勉強できるようになってるんだ。
だからもう華子だけに一人占めさせないもん。」
それが凛には一番嬉しいこと何だと思う。
圭くんてどんな人なのかな
さすがにあの凛の話しっぷりで私も興味がわいた。
華子があんなに怒ったのも驚いたし
だけどそんなことはもうどうでもいい
凛がいなくなる それだけで私は幸せだと思った。
チクン……
今回は軽い痛みだった。
「あ……まただ……。」
この不吉な痛みを感じるだけでぞっとする。
いつまでこの痛みに支配されるんだろう。
王子さまがきっと呪いを解いてくれる……
あのおにいさんを思い出して
ホッとした気持ちになった。
負けないから!!
太ももの傷を叩いたら 自分が痛かった。
「おまえ 何してんだ?」こうくんが不思議そうに聞いた。
「なんでもな~~い」私は慌てて笑った。
この痛みは私の人生をまた大きく変える前触れだった。
呪いの力は少しづつ増して
私を支配して行く………。
どうして私だけがこんな目にあうの?
両親が生きていたら聞いてみたかった。
そして私自身 人生を呪いたくなる日々が始まる。