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離れて行く心~百四十六話~

「先輩すっごく素敵でした。応援してて興奮しちゃった~~。」


屈託ない笑顔のまどかはそう言って キラキラ光る瞳で壮介を見つめた。

壮介はドキドキする心をおさえきれなかったけれど 必死で心を落ち着かせる。


「応援ありがとね。聞こえてたよ まどかちゃんの声は。

それにしてもごめん。なんか勘違いされちゃったな。」


「いいえ~まどかは光栄です。誤解でもすごく嬉しかった。

先輩の彼女扱いされて……。最高の気分~~」


うさぎの耳のように二つに縛った髪の毛が またピョンピョン揺れる。



「いいな~先輩の彼女になりたい。

だって まどかまた今日で先輩をもっと好きになった。来年の今頃は もう先輩卒業なんだもん……。

ここに先輩がいなくなったら……まどか悲しいな~~今から泣いちゃいそう。」



「まどかちゃんってさ…すごいよな。」

思わず壮介は感心した。



「何が?」キョトンとした顔で壮介を見つめる。



「いや…なんか自分の心って隠すもんでしょ?ほんとのことなんて

なるべく言わないようにするけどね。別に俺のことが好きとか言ってるのが

本当の事だと言ってるわけじゃないんだけど…そういうとこすごいなって……。」



「心は見せないと…人生楽しめないですよ。

両親が…死んじゃった時 すごく後悔したんです。前の日 喧嘩してて

二人が まどかはじまんの子どもだよ って言ってくれてすごくすごく嬉しかったのに

素直になれなくて バカじゃない?って言っちゃって…

あたりまえに明日は来ると思ってたのに 両親と過ごす明日はもうなかったから

それから私は素直になろうって…そう決めたんです。」



「そっか……。」



「先輩……好きです。すごくすごく大好きで 先輩のこと考えると

泣けてしまいます。先輩はまどかのこと…迷惑ですか?」


まっすぐ壮介を見つめる大きな目はキラキラと輝いている。


「あ……迷惑ってことはないんだけど……。」

壮介は静のことを言わなければ行けないと思った。



「今まで言わなくて…ごめん。このことは誰にも知られたくなかったから

学校でもわからないようにしてたんだけど

付き合ってる子がいるんだ。ほんとごめん。

まどかちゃん 俺のこと好きだとか言わなかったから 俺も言いそびれて……。」


まどかの目からポロポロと涙が零れ落ちて 壮介はパニックになった。


「ごめんな…。中途半端なことしちゃってたね。

あんまりまどかちゃんが可愛くて…俺も正直言うと もっと知りたいなとか

彼女いるのにそう思っちゃって……これ以上一緒にいたら傷つけちゃうな。」


まどかは首を何度も降った。


「やだ……。先輩と一緒にいたい。傷ついてもいいからこうしてお話したい…。」



「それはまずいよ。ごめん ほんとごめん。ズルかったよ俺……。」


その時だったまどかの柔らかい唇が 壮介の唇に触れた。

慌てて壮介がそらそうとした時 魔法にかけられたかのように まどかのやわらかい唇の

感触が心地よくなって動けなくなった。


下手くそだけど一生懸命のキスだった。


「先輩…彼女いてもいいの……。まどかのこと二番目にして……。」


唇が離れた時 まどかがそうささやいた。


「無理・・・・・。」


また まどかの唇が今度は情熱的に壮介を支配していく・・・・・。


「ダメ…だって……。」そう言いながら壮介は まどかに支配されていく。


「二番目でいいの……。大人しくしておくから……。

みんなの前ではたくさん嘘ついていいから……。まどかの前だけでは

嘘つかないで……。愛してる先輩……。」


壮介の心の必死な理性はもう 潰れかけていた。

まどかの積極的さにいつしか壮介は体を預けていた。


歯止めのきかない おさえきれない欲望はもう まどかを受け入れていた。

まどかの甘い吐息と二人の白い息が 雪を溶かしてしまいそうなくらい熱く燃えて


その日………壮介は 静を 裏切った………。

そして壮介はわかっていた まどかが自分にとって一番目になっていることを……。



  きっと天罰が……あたる……。


まどかの柔らかい体を抱きしめながら 壮介はそう感じた。

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