出会い~十四話~
「さっちゃんの大切なものでした。
いったい誰がこんなむごいことをしたんでしょう。
さっちゃんが犯人探しはしなくていいといいました。
先生も正直ホッとしました。
多分やった人もホッとするでしょう。」
私のランドセルを持ち上げて先生が言った。
「だけど…今度またこういうことが起きた時は
先生は黙ってません。
お家の人を呼んでしっかり指導させます。
他のクラスでもみんな先生たちがこの話をするので
やった人も必ず聞いていると思います。
今回はさっちゃんの優しい気持ちに感謝して
もう二度とこういう事のないようにしてください。」
先生が教室を出た後
数人の女子が私の机を囲んだ。
「大丈夫?大変だったね。」
「うん……でも見つかったからよかった。
それだけでいいもん…。」
「幸ちゃんえらいね~」
同情で集まってきた友達に言われて
悪い気はしなかった。
「絶対 凛ちゃんたちだよね~」
みんなが口ぐちに噂していて クラスの中で完全に浮いた。
その様子に悪い気はしなかった。
ひどいことするからよ。
凛の私を見る目はどんどん憎しみに満ちてくる。
どうして凛は私が嫌いなのかな
凛がイライラしてる様子で毎日を過ごしていた。
そして修了式の朝
車から降りてきた凛が華子と喧嘩をしているのを目撃した。
「圭くんを一人占めするのはやめてよ。」
「どうして?だって家に住んでるのよ。
凛ちゃんが来たらいいじゃない。」
「行ったら迷惑そうな顔をするじゃない。」
「凛が圭くんにべったりするからよ。」
「いいじゃない。華子は毎日会えても私はたまにしか
会えないんだし それにもう京都に行っちゃうんだよ。
週末は絶対うちにきてもらうから。」
「ダメよ。月曜日に出発するんだから
凛がうちにきたらいいじゃない!!」
「華子と喧嘩するから圭くん怒るんだもん。
家に来たら圭くんいっつも優しいから
パパだって怒ってたわ。
一人占めしすぎだって!!」
「いいじゃない。ママの弟なんだから。」
華子は凛を無視して歩き出した。
「いくら華子が圭くん好きになったって
最後は私のものなんだからね。
血が繋がってる人は結婚できないんだからね。」
華子はその言葉に凛のところに戻ってきて
思いっきり凛をひっぱたいた。
「いた~~い!!何すんのよ!!」
「圭くんは私のものだから。今度またそれ言ったら
許さないからね。」
スカートをひらりと揺らして玄関に入って行った。
「ちょっと~~!!」
凛がその後を追いかけて玄関に入って行く。
凛と華子は 圭くんという人を奪い合っているんだ。
凛をひっぱたいた華子の目は座っていて
見ていた私も怖かった。
いつも何にも興味のない顔をしている華子の表情が
一瞬にして変わった。
圭くんって人が好きなんだ
私はあの王子さまを思い出していた。
早く会いに来てね……。
そして季節は駆け足で過ぎていく………。