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出会い~十三話~

痛みのせいでおにいさんの顔を忘れてしまった。

どんなに思い出そうとしても思い出せない。



  きっと呪いのせいだ



私が幸せだって思ったからおにいさんの顔を

忘れさせてしまったんだ。



悲しくなった。

でもおにいさんの優しい言葉はちゃんと頭に残っている。



またおにいさんが見つけてくれるまで…

絶対絶対見つけてくれるように



初恋は二年生に上がる前の春

おにいさんを王子さまにして…私は夢に酔った。



顔のわからない王子さま……

いつかきっと 幸を見つけてね……。



ランドセルが見つかった。


「幸ちゃんのランドセル……外の物置にあったの……。

それで少し汚れてしまってて先生 一生懸命拭いたんだけど……」



ランドセルには靴のあとがうっすらとついていた。



私はショックで泣きそうになったけど

先生がだいぶキレイに拭いてくれた様子がわかったから


「先生…ありがとう……。」

震える声でお礼を言った。


先生は私の頭を優しく撫ぜて

「ごめんね…どうしても消せなくて……

幸ちゃん大事にしてたのに……。」



「見つかっただけうれしい。

幸の友達なの……。」



私はランドセルを抱きしめて頬ずりをした。



「犯人探しした方がいいよね?」


先生は少し困った顔をしていた。

多分間違いなく 凛なのはわかっていたから



「いいです。誰かはわかってます。

どうせやってないって言うだけだから……」



「みんなの前で先生言うね。」



「はい…もうしないように…お願いしてください。」



「幸ちゃんは…本当にいい子ね。

先生大好きよ。」



先生が抱きしめてくれて

私は一瞬ママが抱いてくれた錯覚に陥った。



「ママ……」




「えらいよ…さっちゃん……

悲しい時先生でよかったら…甘えに来て。」



「ありがとう…先生…」


私はしばらく先生のふくよかな胸の中で幸せな気持ちになっていた。



王子さまに会ってから……

自分が少しだけ変わった気がした。

たぶん王子さまに あってなかったらランドセルを見て

泣きわめいて もう学校には来ないって言ってたんだと思った。


だけど…

今日からは違う……。



  負けないから……



王子さまと出会って 勇気をもらった私は

これからは自分を好きになろうと 誓った。



そしていつか王子さまが現れる日まで……

絶対に…愛される女の子でいたいそう思った。




私の王子さまはきっとあのおにいさんなんだって

思ったら……毎日が華やいだ。

だけど……私は顔を覚えてないけれど……きっときっと……

おにいさんが見つけてくれる……そう信じて前を向く……。



その年から……私は大嫌いだったここでの冬が好きになった。

雪がきっといつか王子さまに会わせてくれる気がしたから……。

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