表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/190

大人の階段~百十八話~

幸せで満ちた毎日を送る壮介と静だったが

二年になり クラス替えをしたあたりから 二人を取り巻く環境が

少しづつ変わってきた。


静とはまた同じクラスになって喜んでいたけれど

その喜びもつかの間だった。



「同じクラスだな。よろしくな。」


洋一が名簿に乗った時に 壮介は 終わった・・・・と思った。

中学の頃 こいつのせいでどれだけイヤな思いや悔しい思いをしたことか。



おまけに大介も隣のクラスになり

体育に授業で一緒になることになって さらに気が重かった。


入学時の大介は華奢で細かったけれど

ここ半年くらいで 身長も伸びて 二人の容姿が似てきているのは

よく見ればわかることだった。



大介は生徒会で活躍している。

生徒総会や学年集会で その頭角を現している。



次期生徒会長は 壮介から見ても大きく見えた。



「学年ベスト三位争いの二人が同じクラスですか~~」

嫌味くさそうに洋一が言った。



「なんか壮介 最近怖い顔してるよ。」静に指摘されたように

中学の時あだ名をつけられた


狼 



壮介は洋一がきっと何かしてくると

気が抜けなくなってきていた。



「洋一には気をつけろ。」



「うん わかった。」静も巻き込まれたら大変だと思った。



そんなある日のことだった。


「角谷くん ちょっといい?」


大介のクラスの女子に声をかけられた。



壮介は足を止めてふり向いた。


「あの……つきあってほしいんだけど……。」

頬を真っ赤にして緊張している様子が 微笑ましかった。



「ごめんね。俺は好きな人がいるから…。」



女子は悲しそうにうつむいた。



「ありがとう。俺みたいなのに勇気出してくれて。」



「ううん。好きな人がいるって噂は聞いてたから……

それでも気持ち押しつけてごめんなさい。」



そう言うと女子は逃げるように待っていた女子のグループに

戻って行った。

最近 告白されることが増えて


静とのことをはっきり言えたら 罪悪感もなくなるんだけどなと

壮介はため息をついた。



女子は泣いていた。



  まいったな……。



「すごいな~すごいな~~壮介くんは~~。」


教室に戻ると 洋一が大きな声で言った。



「モテモテだね~~~。」とうとう始まった…と思った。



「さっきの子さ俺と前同じクラスなんだけど けっこう可愛いじゃん。

どうした?付き合うことにしたのか?」



洋一に対しての嫌悪感は小さい頃からあった。



大介の後ばかりついて 壮介を見るとバカにした顔で何かにつけて

いちゃもんをつけてきた。

大介は何も言わなかったが 洋一が二人の間を駆け回って

口をあまり聞かない二人を遠ざけていたような気がする。




「断ったのか~~?すごいな~~~。

断っちゃうんだ。壮介くんは 理想が高いんだ~~。」


バカにしたようなその言い方に ムカムカしてきた。



静が心配そうに壮介を見つめた。



「同じ双子ならさ…俺なら大介の方が絶対にいいな。

だってさ 次期社長で金持ちで~~~。」


そう言いかけて 洋一は口をおさえた。


「え~~~~何?板垣と角谷って…双子なの!?」


その言葉にクラスが騒然となった。



「あ~~~やべ~~~。」洋一はそう言いながら笑いを浮かべた。



「そう言えば…なんか似てるよな。」

クラス中がいたるとこで

壮介と大介の共通点を 議論し始める。



壮介は思わず洋一を睨みつけた。



「お~~こわ~~狼が目を覚ましたな。

そろそろよそいきの顔はやめた方がいい。おまえは

そういう顔が本当の顔だからな。」




これ以上話したら殴りつけそうだったから

教室から外へ出た。



クラスの中では 大介と壮介が双子だという驚きの話題で持ち切りになっていた。




   やっぱりな



洋一の存在は 壮介の生活を狂わして行く気がした。



  静も驚いているだろうな



隣の教室で読書をしている大介を見つけた。



  双子で悪いか?



相変わらず 落ち着いた様子の大介を見ながら



  違う俺が もう一人いる……。



一卵性双生児の二人は 大介の成長とともにやはり似てきていた。

どこが似ている?


顔は似ていても 性格は全く違うし…好きな事も興味も一切

共通点はなかった。



大介を見ていると焦る。

  こいつにだけは 負けたくない


そう思う気持ちがまた 強くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ