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絡まる糸~百九話~

静は学校からの許可をもらって週四回 テスト期間を抜かして

弁当屋でアルバイトをすることになった。



「おばさんがそんなことしなくていいのにって言ってくれたけど

私がイヤだったから…微々たるものでも生活費としておばさんに入れたいの。

圭もその間 今の保育園で見てもらって…おばさんも忙しい人だから…。

圭も団体生活させてあげられれば もっと成長するだろうし……。

残った分はちょっとおこづかいにもなるでしょう。

そうじゃないと 申し訳なくて…居づらくなるから。」




「偉いな。感心するよ。」


静のすごさに 壮介は感動していた。



「違うよ。偉いとかじゃなくて…負けず嫌いなんだよ。

もう…人にバカにされたくないの。蔑まされるのは……もうイヤなの。」



一瞬 静の目が 熱く壮介を見た気がして 驚いた。




「今日もバイトだから…おばさんが会社に行く前に

車で圭を保育園に送ってくれるから

すごく助かるわ。」



静は慌てて目をそらした。




家を引っ越しして 叔母の家に身を寄せて 静はすごく変わった。

いつも少し脂ぎっていたいた 髪の毛はいい香りがした。



やぼったさで隠れていた静の本当の姿が見えてきた気がして

今まで鼻にもかけなかった男子からも静の変化が眩しく見えだしたようだった。


もちろんそれは壮介にも 伝わってきた。

変わって行く静に一番戸惑っているのは壮介だったから。




  なんだ・・・・この気持ちは・・・・。



今まで 友情というか 同じような境遇だったから気になっていたと思っていた。

だけど最近 それが少し違うことに気がついていた。

遅くなって帰ってくる静が気になって ついつい用事をつけては

自然に向いている足に気がついていた。



暗闇の向こう側から 歩いてくる静と 背中で眠る圭を

いつしか迎えにいく自分がいた。



  おかしなことをしてる……。


自分でもそれはわかっていたけど…

幸いなことに 母はそれには 何も言わないでくれた。

母に言われたら 恥ずかしくて こもってしまうところだったけれど



母は


「壮介がついているから 安心だわ。」そう言って送り出してくれた。



反対に静のバイトが休みの時は 寂しかった。

なんだかんだいって会いたいと思っているのは 自分の方なんだと思った。




やっと静も幸せになれた



壮介は そう思いながらも 学校でも存在が輝いてきた静に

少し寂しいような複雑な気持ちを抱いていた。



勉強ができて スポーツも万能

だけど……静に微笑むその表情は 見るものを癒してくれた。



生活状況がよくなって少しふっくらとした静は 柔らかそうで

そんな静に抱かれている圭がうらやましいと思うまでになっていた。



  俺は変態か……。



複雑な想いに翻弄されながら毎日が過ぎて行く。

それが恋だって 気づかない振りを必死にしていた。





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