顔。
いつもと変わらない学校の通学路。
変わらないけど、やっぱりいつもと違う。
変化は無いけど、違和感がある。
何回も同じことを思っても何も変わらない。
頭の中にあるのは朝の[ツノ]のこと。
やっぱり、あれは夢じゃない。
夢であったても私は認めない。
あれは、現実。
私の中の現実。
私はその中の現実の全てを知りたい。
「じゃぁねー亜和ちゃーん」
「ばいばーい」
友達と別れる普通の光景。
でも私は、普通にやっぱり思えない。
下校中、私はそんなことを思った。
でも、今目の前にある光景はそんな考えを吹き飛ばすように違く、驚くほど平和なんだろう。
≪真夜ちゃん、秋元、佑太君、兎雫丸君、秋元のクローン≫
どれも私には夢とは思えないほどの体験をした。
そして、今の記憶は何なんだろう。
昔の私の嫌いな過去とはまったく違う。
お母さんは淫乱な下衆女ではなく、どこか気品のある優しいお母さんになっている。
クラスメイトは私を淫乱とは言わなくなったし、逆に今日男子に告白された。
先生も、男ではなく女の先生で、「前からそうだよ?」と言われ、記憶の内容とは違う。
そして、唯一変わらない存在。
≪お父さん≫だ。
お父さんは今も変わらず優しくて、好きだ。
けど、一番怪しくもある。
お父さんだけ変わって無い。
ある意味変だ。
家に帰り、迎えてくれたのはお母さんだ。
「おかえりー」
優しく声をかけてくれた。
「ただいま」
優しく声を返す。
きょうは、頭の整理で疲れたので部屋へ戻ろうとした時、
「今日ね、お父さん徹夜で研究所でお仕事するから、お弁当届けてくれない?お母さんね、ちょっと今日調子悪いの」
調子が悪いと言われちゃ、断れもしないので私は研究所へお弁当を届けに行った。
お父さんのいる研究所までは電車を二駅乗った先の、1㎞先にある。
結構行くまでに疲れる。
学校の帰り道だからよく寄っていた記憶がある。
電車を降り、駅を出ると新聞を配っている人がいた。
「号外号外号外!!!号外でーす!!!」
どうやらとびきりの内容なのだろう。
私も気になったので受け取り、読んでみた。
内容は、誘拐事件だ。
被害者が公開されたようだ。
新聞にも顔写真が出ていたので見てみた。
一人は、短髪・鼻が高く・つり目だが、大きい目・ホッソリとした顔つき
一人は、髪が首につくかつかないかぐらい・鼻は低く、眼鏡をかけている・これもまた痩せている
一人は、小さい子供・髪はブロンド・目が大きくてクリクリしている・少しぽっちゃり系だ
「・・・・っう!?おえぇっ!!」
公衆の面前で吐いてしまった。
ありえない。
こんなのありえない。
吐いていることに対してではない。
顔写真だ。
一人は、真夜ちゃん。
一人は、秋元。
一人は、兎雫丸君。
偶然とは思えない。
そして、一部を思い出した。