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それは国王の御名
黒っぽい石が敷かれた、田舎みち。
緑いろの葉が生いしげる果樹園のあいだを通り抜けながら、自動車は走って行く。
「この世界で『デュエマ』と聞けば、高級服のブランド名を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかしその名は、かつてこの世界の三分の二を支配していた神聖帝国の国王の名前だったのです」
せ、世界の三分の二を支配していた国王?
「歴史上にデュエマの名が現われたのは、今から千五百年ほど前のことです。
王族とよばれる権力者たちが、自分たちの領地を広げるために血みどろの戦いをくりひろげていた時代のことでした」
自動車が街の中に入った。
港町らしい陽気なにぎわいが、窓ガラスを通して聞こえてくる。
「うわあ……」
街の入り口にある広場にさしかかったとき、ハルミは声をあげた。
晴れあがった空の下に立ちならんだ、数え切れないほどの屋台。
店先に並べられた色とりどりの野菜や果物。
水揚げされたばかりとおぼしき魚介類や太い鉤に吊るされた塩づけの肉や燻製肉。
そして、そのあいだを行き来するさまざまな肌の色の人々。
いや、人間だけではなかった。




