三通目 朱雀の代償と娘への言葉
伝承の剣を求める者へ
この手紙は、私が残せる最後に書くものとなる。
ここにある祭壇は、太陽の石が祭られていた場所だ。
太陽の石は、その人の願いを光となって応えてくれるという、
不思議な力がある。
四神の武器、朱雀の弓の起源となる石だ。
起源の石である故、朱雀の代償を緩和してくれる石でもある。
そして……
朱雀の願いの光は、その人の寿命……いや、未来を対価として、
救いの光を与えてくれる。
その光は、希望の光であると同時に、絶望の光にもなる。
御神体を完全に消す事が出来る可能性がある、唯一の石だ。
朱雀の弓で太陽の石を割る事で得られる力であれば、それは可能だろう。
使用した者の……、先の未来全てと引き換えに……。
私は、それでも御神体を消す願いを叶えたかった。
……だが、私は朱雀の弓に選ばれなかった。
故に、それは叶えられない。
私は、朱雀に選ばれし者が、その希望を手にする事が怖かった。
故に、その未来の可能性を断つ為、ここに太陽の石を置かなかった。
恐らく……
この手紙を読んでいる時には、
既に太陽の石は割れているだろう。
太陽の石が無ければ、朱雀の代償を緩和できない。
だから、決して朱雀の弓は使ってはいけない。
その代わりとして、別の可能性を最後に記す。
四神の剣と呼ばれる武器が伝承になる可能性だ。
それを実現するには、他の起源の石が必要となるだろう。
その時が来た時のため、
玄武の双剣、その起源の石の在処をここに記す。
起源の緑の石、千引の霊石は玄武の代償を緩和する。
それと同時に、玄武の双剣の力を引き出せる物でもある。
だが玄武は、文献に記された二本の剣とは異なる。
しかし、使用する事で変化が起きる可能性もある。
だから、違うと断定はできない。
四神の武器が、世界を正す剣へと導いてくれることを切に願う。
そして、最後に……
この手紙を読んでいるのは、恐らく私の娘だろう。
もし、そうであったなら、
私とお前の母は、朱雀の力で世界を救う未来を望んでいない。
だが……心の優しいおまえは、
時が来れば、止める事が出来ないはずだ。
自身の未来が無くなると分かっていても……。
それでも、これだけは覚えておいてほしい。
たとえこの先、逃げられない運命が待っていたとしても、
お前は……一人じゃない。
だから、諦めるな。
何があっても……強く、生きなさい。




