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第1話 音楽

 大学2年の秋の終わり頃。


 ぼくは大学の図書館で目を覚ました。


 目の前には本と、ヨダレのついたノート。


 そうか。

 ここで勉強していて、居眠りしたんだ。


 そう思うと同時に、横から声をかけられた。


 「あ。起きました?」


 「え? ああ、はい」

 隣を見ると、図書館の職員の人がいた。


 少し恥ずかしい。


 もう閉館時間らしく、ぼくを起こそうと思ったら、丁度起きた。


 そんな感じらしい。

 

 ぼくは急いで本を片付け、慌てて外に出た。


 ひんやりした風が吹く。


 寒い。


 もう真っ暗だ。


 寝てたから体が冷えたんだな。


 明かりの少ない暗い夜道を歩く。


 それにしても、どうしよう。


 居眠りをしたせいで、課題が全く、終わっていない。


 今回は諦めるか…


 そう考えながら歩いていると、何か音楽が耳に入ってきた。


 何だろう?


 せっかくなので、そっちの方に行ってみることにした。


 課題をやらないなら、空いた時間は有意義に過ごさなければ。


 音がどんどん大きくなる。


 ここは本キャンパスから少し離れた、17号館。


 古びた校舎が光っていた。


 中の光が漏れ出ていた。


 入り口に警備員がいたが、特に止められることもなく、中に入る。


 周りを見ると、止められて、カードのようなものを見せている人もいた。


 どういうことだ?


 中では机や椅子が等間隔に並び、人々が食事を取ったり、カードゲームをしていた。


「あ〜、負けた」


「まだまだこれからです」


 と、不意に辺りが暗くなる。


 そして、奥の方に設置された舞台のような場所にスポットライトが当たった。


 そのタイミングで、ぼくが入ってきた後ろの扉が閉まるのを感じた。


「お集まりの皆さん!第3回〜パーティにようこそお越しいただきました。それでは早速、今回のゲーム内容を発表いたします!」


「皆さん、まずはペアで集まってください」


 ペア?


 その時、横にいた少女が、ぼくの手を引っ張り、ぼくはたたらを踏む。


「こっち」


「え?」


 もう何がなんだかわからない。


 その少女はぼくより何歳か年下に見えた。


「ペアは揃いましたか?」

 司会の人がぼくたちに尋ねる。


 ぼくはこの少女とペアということでいいのだろうか…


「では、ゲーム内容を説明します。といっても端末に送るだけですけどね。はい!今配布しました。」


 端末?

 持ってない。


 少女は持っているのだろうか。

 見る限り持ってなさそうだが。


「それでは、ペアの方と頑張ってください」


 また、会場が明るくなり、今度は帰りの音楽っぽい音楽が流れ始める。


「ねぇ、あなたのメールアドレス教えてもらえる?」


「メールアドレス? 別に、いいけど」


「それより端末が何かわかる?」

 ぼくはメールアドレスを教えながら尋ねたのだが、少女は答えない。


 いや、しばらくすると答えてくれた。


「…端末は家にある」


「帰ったら連絡する」


 それだけ言うと少女は去ってしまった。


 ──────


 パーティ会場から出る人混みに紛れて、ぼくも外に出た。


 こんだけ人がいたら安心だ。


 すると、大学のキャンパスを出たところで、車がたくさん停まっていて、大体の人がそれに乗って、帰ってしまった。


 しかし何人かは駅まで歩くようなので、ぼくも少し安心して帰れた。


 帰り道を歩きながら、考える。


 少女は帰ったら連絡すると言っていた。


 いつ連絡が来るか。


 しまったな。ぼくが招待客じゃないと言っておけば良かった。


 端末…


 ぼくが家に着き、手を洗って、部屋に戻ると、ちょうど連絡が来ていた。


「明日の10時に、鴨戸駅前に集合」

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