レース終了!
『鍵のかかった部屋』
貰った鍵を使い、扉を開く。赤を基調とした洋室に入ると。
コウタ(思った以上に何も無いのな。ここがゴールなのにファンファーレも鳴らないし)
そんな事を考えながら、この部屋で、不自然に目立つ白いテーブルへと向かうと。
ドガァァァァアン!と、壁が吹き飛び。砂煙が舞う。
コウタ(敵か?)
腰を低くして戦闘態勢をとりつつ、様子を窺うコウタ。
そんな事なんか露知らず、部屋に軽快な独り言が響きわたる。
シゲ「『鍵』なんて無くても、壁をぶっとばせば同じだよなー」
シゲが楽しく言いながら入ってくる。
それを見て
コウタ「おぉー!シゲ!」
シゲ「おぉー!コウター!」
タタタっと2人が同時に向かい合う。
シゲ「おつかれさーん!」
パチッ!っとハイタッチ。
と同時にシュゥゥゥゥー!と初めて聞く異音。
2人は同時に音がした方向へ顔を向けると、真っ黒な球体を目にする。
目が点になりながら
シゲ(なんじゃありゃ)
コウタ(あんな綺麗でデッカイ球体は見た事ねー)
と思って様子を窺っていると。『能力』を解除したサトミが現れる。
サトミ「あらっ?私がアンタ達より遅かったって事かしら?」
ニコっと笑いながら2人に話かける。
一人称が変わってる事も気づかずに
シゲ「オジョー!」
コウタ「カッコイイ登場してくれんじゃん!お嬢!」
3人は無事に『ホワイトボックス』を手に入れる事になる。
ーーー
RQ「『ホワイトボックス』が全て獲得された為、これにて『ホワイトボックス争奪戦』を終了します」
RQの拍手と共に、パンッ!っと破裂音が鳴ると同時に紙吹雪が舞う。
控室から出て来たトキノ、オウタ、サキを含めた6人を祝福するように、
舞っている紙吹雪が、龍の姿に成り飛び回ったり。
花火のように破裂したり、6人の周りを竜巻のように舞ったり。
そんな紙吹雪の祝いを、各々が楽しんでいた。
いつのまにか用意してくれた食事が、長テーブルの上にズラっと並んでる。
トキノは相変わらずパシャパシャと動画を撮りながら。ニコニコしている。
シゲとコウタは「コレが最後かもしれないからなー!」とバクバクと飯を食べている。
サトミは「紙吹雪っていう安物使ってるのに、ここまでゴージャスにするなんて。まぁ及第点ですわね」とノンアルコールシャンパンを飲んでいる。
オウタはコーラを片手に、ふかふかのソファでくつろぎ。
サキはメロンジュースを飲みながら、どんどん変形していく紙吹雪を楽しんでいた。
RQ「お楽しみになった後は、好きなタイミングでお帰りください。『絵本』の外へはボートに乗って夕日に向かって進めば帰れます」
いつの間にか、部屋の構造が変わっていて、出口のみの部屋になっていた。
「はーい」「了解」「わかった」「ありがとうございます」「最後の最後までボート移動なのね」「・・・(ぺこり)」
と各々が返事して、しばらくの間宴を楽しむのだった。
ーーー
出口前にて、6人は集合していた。
シゲ「よしっ!オウタ!帰るぞ!」
オウタ「おう、みんなー!帰るゾー!」
オー!と拳を振り上げる6人。いつも黙って付いて来ていたサキも楽しそうに拳を挙げている。
バーン!と扉を開いたオウタに続き、全員が洋館から出ていく。
6つあるボートの前に居た、Vと書かれた旗を肩に担いだRQが深く頭を下げた。
RQ「お疲れ様でした。お気をつけてお帰りください」
全員が頭を下げてから。
シゲ「トキノ、俺のボートに乗ってけよ」
トキノ「ほんと?ありがとー」
シゲとトキノは一緒に行くようだ。
シゲ「先にいくぞー!」
そう言うと、我先にと夕日に向かってボートを進める。
サトミ「何焦ってんだか、オウタ、私も先に行くわよ」
その背中は誰よりも大人の様に見えた、レッドカーペットを歩くようにボートに向かい、リムジンに乗るようにボートに乗る。
アクセルを踏むと。風を楽しむように、夕日へと向かった。
コウタ「俺も行くか」
独り言のように、オウタに向かっていうと。答えも待たずにボートに乗って夕日に向かってアクセルを踏んだ。
オウタ「サキ、行くか」
そう誘うが、一緒に乗るわけじゃないらしい。同じでタイミングで別々のボートに乗る。
サキ「オウタ、先行ってて」
オウタ「おっけー」
先に夕日に向かうオウタに対して、サキは旋回させてRQの元に向かう。
RQ「どうかなさいましたか?」
サキ「ありがとう、最後に・・・感謝を伝えたくて」
RQ「そうでしたか・・・では、最後ですし謝罪させてください」
サキ「謝罪?」
RQ「はい。この先は地獄です。本当は、この楽園にずっといて欲しいのですが、そういう訳にもいかず・・・」
サキ「・・・」
RQがサキから視線を外し、どこまでも続く砂漠に視線を移す。
RQ「ココには、目的があり。誰にでも超えられる、少しの高い壁があり。衣食住もある。それに対して『絵本』の外には」
RQ「目的もなく、生きる為に生き。労働は時給に置き換えられ、己の実力があってもなくても、評価はされず。なによりも『夢』が無い」
RQ「そんな場所に帰す事を、お許しください」
旗を突き刺して、両手を前に組み、深々と頭を下げる。
サキ「なに言ってるのかなー、少なくとも私は、手に入れたよ『夢』を。シールドが辿ってる『夢』を目指そうと思うんだ。『夢』を手に入れるチャンスをくれたのはRQのおかげ、ありがとう」
RQが顔をあげ、サキを見る。
サキ「せっかくだし、シールドに言っといてよ『次は負けない』ってね」
RQが、くすっと笑い。
RQ「分かりました。きっと、次は勝てますよ」
その言葉に、ひっひっひ。とサキは笑った。
RQ「貴方にコレを差し上げたいのですが」
突き刺していた旗を抜き、サキへと差し出した。
サキ「うーん、ソレは大きいしー。それに・・・もう、貰ってるからさ」
そう言って、髪留めに手を添えた。ソレにもVと書かれた旗のデザイン。
RQ「ふふっ、そうでしたね」
2人が笑い合うと、少しの沈黙が訪れた。
・・・その沈黙に耐えられなくなりサキが口を開く。
サキ「ねぇ、どうせだし、その・・・地獄に行くからさステージ6って事にして、開始の合図してくれない?いつもみたいにさ」
RQ「ふふ。えぇ、良いですよ」
旗を担ぎ、夕日に向かってRQが歩き出す。
サキも夕日に向かってボートを向ける。
RQが振り返り、旗を空へ掲げる。
RQ「これより、第6レース・・・スタート!」
ブンッ!
第5レース
1位 シールド
2位 サキ
3位 オウタ
4位 コウタ
5位 シゲ
6位 サトミ
失格 トキノ
『ホワイトボックス争奪戦』 おわり。




