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最終レース!

朝 7時45分。 スタート地点。




RQ「最終日は朝8時からスタートになります」


と、前日に聞かされたので。


参加者全員が、既にスタート地点で待機していた。





フックは、すぐに走れるようにストレッチしている。


ボマーは、やきそばパンを食べている。


シールドは、仰向けで寝転んで、目を閉じている。


キャバ嬢は、着ているスカートに自分でハサミを入れてスリットを無理やり作っていた。



オウタ達6人は集まって、『今日は皆で行動するのか』について話をしていた。



シゲ「オウタ、今日はどうする?最終日だし全員で行くか?」


シゲ(オウタ。お前が居れば『安全』にクリアできる、俺としては、全員で行きたいんだけどな。)



トキノの『安全』を優先するためにはオウタとの行動が必要不可欠だと考えての発言だったが、横から食い気味に話しに入る人物。


コウタ「ごめん。俺。今日は1人で行きたい」



予想外な言葉を聞き、トキノが驚く。



トキノ「え?なんで?私達と一緒に行こうよ」


コウタ「ごめんトキノ。俺、『ホワイトボックス』は自分の力で手に入れたいんだ」


トキノ「・・・」


いつものと違う『決意』の籠った発言だった為、言葉に詰まってしまうトキノ。



コウタ(昨日の、シゲとの会話のおかげで、トキノを諦める事を決意する事ができた。)


コウタ(俺は今。欲しいモノに『全力で挑みたい』)


コウタ(トキノ達と行動すると『全力で挑めない』。この4日間、ずっと一緒だったから。分かるんだ。)



見つめ合うトキノとコウタとの間に。割り込むようにサキが言った。



サキ「私も、1人で行動するよ」


サキ(『ホワイトボックス争奪戦』は『競争』。団体戦で獲りに行くモノじゃないよ)


言葉にはしない。自分で気づかないといけない事だから。とサキは想う。



その言葉を聞いた全員が「知ってた」って顔をして。



次に言葉を放ったのはサトミだった。



サトミ「わたくしも1人で行きますわ」


サトミ(わたくしの『能力』は個人戦でのみ優位に立てますわ)


サトミ(なにより、自分の欲しいモノは自分で掴み取りたいですもの)



その言葉に被せるように、オウタも言った。



オウタ「俺も1人で行くよ」


オウタ(俺は結局。『大きな流れ』には逆らえないみたいだ。)


オウタ(でも『ホワイトボックス』を手に入れる事ができたら、この『大きな流れ』から解放されるかもしれない)


オウタ(それすらも『大きな流れ』の1部かもしれないけれど・・・行こう)



残っているのは、シゲとトキノだ。2人は目を合わせて。



シゲ「じゃあ、俺とトキノは2人で行くぞ?」


トキノ「また後で会おうね、みんな!がんばろう!」







ザッ・・・ザッ・・・。旗をなびかせ。ゆっくりと歩いてくる者が1人。RQだ。



仰向けに寝ていたシールドも。ストレッチしていたフックも。スリットを無理やり作っていたキャバ嬢も。焼きそばパンを食べ終えたボマーも。


そして、半強制的に参加している6人も・・・。緊張した面持ちで、スタートラインへと立つ。



『ホワイトボックス』を手に入れようとする者達の、最後のレース。



RQがスタートラインを越えてもなお、さらに歩いていく。後1分で開始時間だ。


RQがピタッっと止まり。振り向いた。



RQ「最終レース!」



旗の石突いしづき部分を強く握り。旗頭はたがしらを地面スレスレに近づける。




全員が思った・・・(始まるッ!)



RQ「スタート!」



ブンッ!っと。旗を振った!






100メートル先にある、ボートに向かって、全員が走りだす。



1番先に、ボートに乗ったのはフックだった!


フックは走りながら、両手からワイヤーフックを伸ばしていき、ボートにフックを引っ掛けて・・・引っ張る!



オウタ(『能力』を使ってボート自体を引き寄せるなんて・・・レースに有利な力だな)



さらに、左手から伸ばしている『ワイヤーフック』をボートを越えてもなお、伸ばし続けていくと。


走り始めて、わずか20メートル時点でボートに乗り込む事に成功すると、アクセルを踏み込む!


同時に。左手から出しているフックが地面へ突き刺す!。『ボートの加速』と『引っ張る力』を利用する事で、ボート単体以上の速度を簡単に出す事に成功していた。



オウタ(速い!このままじゃあ、絶対に追いつけない!)



『能力』を使ってレースを有利に進める方法を考えていない時点で、勝敗が決まっていた。



オウタ(でも。今は反省している場合じゃない!)





2番目にボートに乗れたのは・・・オウタだった。



そうだ、出遅れたけど『能力』を使えば良い。フックさん、貴方を見習おう!


走るのを止めると、なにも無い空間を殴り『穴』を開ける!。『黒い空間』が現れた。


次に妄想するのは『ダクト』だ。



この何もない『空間』を『ブラックホールへと繋げ』、そして『ブラックホール』の吸い込む物体を『ボート』へと繋げる!



『ブラックホール』の吸い込むモノを『指定』できるのか?・・・ここは『絵本』の中だぜ?


俺の『妄想』どおりに事が上手く運ばない理由はない!



ぐにゃ~っと、『黒い空間』が歪み始めた!と思った瞬間には、オウタの目の前にボートがあった!



先ほどまで、ボートがあった場所を見ると、無い!上手くいったぞ!。



ボートに乗って、アクセルを強く踏む!



オウタ「おっしゃ!いくぜー!」





3番目にボートに乗れたのは、コウタだった!


コウタ(そうか!『能力』を使えば良いんだ!ステージ内じゃなくても、もう使えるんだ)


『能力』を使い。足が速くなる為のドーピング薬を創造する。


液体が入ったビンが手のひらに現れる。走りながらガブ飲みすると。



足の筋肉が、ボコボコと変わっていくのを感じる。



コウタ(おぉ!分かるぞ、どんどん加速しているのが!)



1番遅いサキの前を走っていたコウタが、どんどんゴボウ抜きしていき、たった10秒でボートに辿り着く!



コウタ(よしっ!よしっ!よしっ!)



トキノ(コウタ凄い!めっちゃ速い!)


シゲ(トキノより遅いコウタが、こんなにも・・・やっぱり凄い『能力』だ)





4番目にボートに乗ったのは、ボマーだ。



単純に、大人達が足が速かったからだろう。『能力』無しの競争なら、確実に大人達が『1位~4位』だったくらいだ。


ボマー「『薬の創造』はやっぱり強いな。でもよ、俺が『能力』を使って『妨害』しないから成功してるだけなんだぜ?」


ボマー「『妨害』しない理由はな」



ボマーがボートに乗り込みと・・・パーーン!と破裂音が鳴り空中へと吹き飛ばされる!



ボートの下に爆弾を仕込んでいたのだ。乗り込んだ瞬間に爆破!船体を破壊しないように、空気を圧縮した爆弾を創り、爆発の勢いで進んで行く。



パーーン!パーーン!空中にいながら、どんどん爆破の勢いで進んでいく!



既に先に進んでいた、コウタを抜いてしまった!



コウタ「そんなのアリかよ・・・便利すぎるだろ!」


コウタ(俺も走っ方が速いか?いや、ボートの速度の方が長距離においては速い可能性もある、くそっ!)





5番目にボートに乗ったのは、キャバ嬢だった。


キャバ嬢「ふー。疲れた!ボートに乗れさえすれば、こっちのモノよ」



アクセルを踏み込み、進んで行くと、胸の谷間の中から『赤い心臓』を取り出した。


それを前に投げ込み、砂漠に落ちたのを確認すると・・・。ザザザザザザザザ・・・と。砂が裂けるように地面が割れていく!



割れた地面の先には、『地下通路』がある事が分かる!



キャバ嬢「私は安全で、最速のルートを行くわよ?じゃあね」


そのシーンは、後ろを走ってる人達からすれば、急に地面へ落下?して消えたように見えた!




サトミ(消えた!?なんで?一体なにをしましたの!?)


ザッザッザと走りながら、キャバ嬢を見ていたサトミは驚きつつも、自分が目指すボートへ向かう。





6番目にボートに乗ったのは、シールドだった。


シールド(さてと、そろそろ私が乗り込む番かな?)



後ろをチラリと確認する。100メートル走ったのに関わらず息も安定してるので全力を出していない事が分かる。



シールド(ふふっ、やっぱり最下位だね、さてと、ちゃんと行動できるかな?)


シールドがボートに乗り込み。アクセルを踏む!・・・が、ボンっ!ボン!とボートの後ろから衝撃が伝わる!



シールド(キタっ!ふふっ、良いねーイイねー)



わざとらしく、衝撃があったであろう部分を確認すると。『穴』が空いていた!


ちらっとサキの方を見ると。何かを持っている。



シールド「銃だね」



この世界にあるモノは少しずつ修復されていく。ボートに空いた穴も塞がって来た。


邪魔されたのに、微笑み、焦る様子は無いが。このせいで、1番最後に出発する原因になってしまう。





7番目にボートに乗ったのは、トキノとシゲだった。


RQが気を利かせてくれたのか、他のボートと違い、ちゃんと2人乗り用のボートにしてくれていた。



シゲ「はぁ、はぁ、トキノ大丈夫か?」


トキノ「うん、はぁ、はぁ、大丈夫。皆速いね」



シゲが操縦席に乗り。後ろにトキノが乗る。



シゲ「いくぞ、トキノ!」


トキノ「しゅっぱーつ!」





最後にボートに乗ったのは、当然、サキだった。


サキ「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、おま・・・ハァ・・・たせ」



過呼吸気味に、おまたせ。と言い。シールドのボートに乗り込む。


シールドが気を利かせたのか、RQを呼び、2人乗りボートに変えてもらっていた。



シールド「ふっふっふ。サキ、面白いわ。あははは」


1人大笑いしながら、アクセルを踏み込むと、楽しそうに笑いながらサキに問いかけた。



シールド「ねぇ?なんで?私の邪魔をして、私のボートに乗ったのー?」


サキ「ハァ・・・ハァ、ハァ・・・1番、速い馬に乗るのが、レースの鉄則でしょ・・・ハァ、ハァ」


シールド「最後に出発してる人に言うセリフじゃないけどねー、あははは、おもしろいわー」



地味だけど『能力』を使っているのか、その速度が、どんどん、どんどん・・・速度を増していき、最終的には1番最初にステージ5に辿り着く事になる。



そんなスタートを後ろから女神の様に微笑み、見守ってくれていた人RQがぽつりと呟いた。


RQ「最終レース、頑張ってくださいね」

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