3日目 サキとオウタとサトミのキャンプ
数多な星の中、ひたすらに目立つ孤独な月。
それを寝転がって見上げている者も独りだった。
相変わらず、この世界には無駄に『暑い』とか『寒い』とかそういった事は無い。
とても快適な場所、世界だ。
サキ「案外。時間かかるもんだね、アニメとかだとリアルタイムで焼く事とか無いからねー」
空から視線を外し、ちらりと焚火の方を見る。
肉が突き刺さった串を、さらに地面に突き刺して遠火で焼いている状態だった。
アニメやマンガで良く見るシーンを自分でもやってみたかった。でも実際やってみると時間がかかるかかる。
1人キャンパー?って人はコノ待ち時間すら楽しめるんだろうなー。
私は待てないタイプの人かも。
サキ「ま、じっくり待つしかないかー」
でも、こういうチャンスはなかなか無いと思うから、ムズムズするけど待とう。
そう言いながら空に視線を戻す。
そこに、ザッ、ザッ・・・と足音が聞こえてくる。
オウタ「サキー、ほんとに1人で晩飯、良かったのか?」
サトミ「貴方、なに食べましたの?トキノの熱烈な誘いを断ってまで贅の限りを独り占めしたかったですの?」
オウタがサキの隣で座り。サトミは言いながら、今尚焼かれている肉をじろじろ見てくる。
サキ「あーうん。大丈夫。どうしても食べたい肉が、いろいろとね」
オウタ「ふーん?」
オウタ(そんな含みのある言い方するって事は言いたくないって事だよな?)
サトミ「どうしても食べたいですって?なんですの?この肉ですの?別に何も変わった様子は無さそうですわよ?」
オウタの遠慮を他所に、当然のように聞くサトミに苦笑する。
オウタ「えぇー」
オウタ(めっちゃ聞くじゃん(笑))
ちょっと言いにくそうにしながらサキは答えた。
サキ「それ、ウサギ肉なんだ」
オウタ「ウサギ!?」
サトミ「ウサギ!?」
サキ「さっきはシカ肉も食べたよ、でも、ほら?なんとなく言いにくくてさ(笑)だからトキノ達とは一緒に食べなかったんだ」
ひっひっひ。と楽しそうにサキは引き笑いした。
オウタ(笑ってる、サキが笑ってる)
サトミ(へぇ~?サキってそんな風に笑うんですのね)
オウタ「でも、トキノだったら、喜んで動画撮りながら食いそうだけど?」
サキ「あぁ~、どうかな~?コレ、えっと・・・あれ見て、見にくいかもだけど・・・」
そういってサキがテントの横を指さす。
焚火の明かりが微妙に届いていないが、なにかある事は分かった。
サトミ「なんですの?」
立っていたサトミがそっちの方向へと向かう。
サトミ「・・・コレ・・・」
オウタ「なにがあったんだぁー!?サトミー!」
ちょっと大きな声でサトミに聞く。その質問にスグに答えずに戻ってきたサトミがオウタの横に座り。
オウタ「なんだったんだ?」
サトミ「シカとウサギの死体でしたわ。捌かれてるから死体っていう表現が正しいか分かりませんけど」
オウタ「お、おおう・・・」
オウタはサキをまじまじと見る。その視線に答えないとダメだなーっとサキは思い話始める。
サキ「1回、自分で捌いて、食べてみたかったんだ。
サキ「昼間にね、狩りして獲ったんだシールドと一緒にね」
オウタ「めっちゃアクティブ・・・」
サトミ「そんな簡単に獲れるものですの?あぁ『能力』?」
サキ「んーん、普通に弓矢とか、銃とかRQに用意してもらってさ」
オウタ「へぇー」
サトミ「貴方、ほんとうに変わりましたわね」
声色が少し変わった。そのサトミの一言が、本題へと入る空気を作った。
ピリッっとした空気に変わり、サトミは言葉を続ける。
サトミ「聞き事がありますの、全然関係ない話になって申し訳ないですけど」
サトミ「サキ、ステージ3はどんな意味がありましたの?」
サトミ「わたくし『能力の成長』の為にステージ3を消費してしまいましたの」
サトミ「これは、貴方の考えからしたらどうなのかしら?間違っているのかしら?」
『成長』の為のステージ2はすでに終わっているけど、ソレを取り戻す為に時間を割いてしまったので、『ステージ3の意味』は、また別に取り戻さないといけない。
その事がサトミの頭を占めていた。
オウタ「・・・」
サキ「・・・」
沈黙も時間。オウタとサトミは回答を待っていた。
オウタ(俺も知りたかったんだ。だからサトミと一緒に来たんだ)
オウタ(ステージ3を攻略できたのも『能力の成長』と言っても過言じゃない気がするからな、でも『意味が被る』事があるのかな?ってな)
オウタ(だからステージ3には、別の『意味』があるんじゃないのか?)
オウタ(ステージ1と2に『意味』があったのに3は無いのは変じゃないか?と)
「よっ」と・・・サキが1度起き上がり、焼いている最中の串を抜き、反転させて、もう1度ザクッっと突き刺した。
そして、元の位置に座りオウタとサトミの方を向き言葉を発した。
サキ「んー、教えても良いけど、知る必要はないよ?ステージ3と4は、なんて言うのかな、意識してどうにかできるものじゃないからね」
サキ「そっか、サトミは『能力の成長』に時間をかけたから『1手遅れた』って思って不安になったの?」
サキ「大丈夫だよ、成長できたなら良い時間の使い方だと私は思うよ」
サキ「オウタとサトミは、レースの最終結果見た?」
サキ「ボマー、フック、キャバ嬢は『失格』だってさ。コレが『普通』なんだよ」
サキ「基本的にはステージ3は『攻略不可能』に『設定』されてるハズなんだよね」
サキ「だけど、『私達』は『攻略できる』、理由は簡単、ステージ3の『意味』を『知らない』からなんだよ」
サキ「あー・・・ごめん喋り過ぎたね」
オタク特有の早口の喋り方。喋れるようになった事の反動か?それとも、好きな作品を紹介するように知ってる知識を披露できる事の嬉しさ故か。
それでも、サキの発言を聞いた2人はあまりの情報量の多さに興奮していた。
サトミ「ちょ、ちょっと待ちなさい!『意識してどうにかできるものじゃない』?どういう意味ですの?」
オウタ「サキはもう、『ステージ4』の『意味』も解ってるのか?なんで?ヒントとかあったのか?」
サトミ「まずは、教えなさい!もったいぶる必要がありして?まずは『ステージ3の意味』を教えて!」
オウタ「『攻略不可能に設定』されてるのに『知らなかったら攻略』できる?・・・フック達って『失格』になってたのか、いやでも『シールド』は?『シールド』はどうなんだ?あの人は『1位』だったぞ?」
急にテンション上がった2人の質問攻めに、サキが笑っている。
サキ「ひっひっひ!ごめんごめん(笑)」
サキ「全部、全部教えるからさ(笑)とりあえず・・・ねぇねぇ!」
サキ「私達でさ、飲んでみたいものがあるんだ!せっかくだし飲まない?」
前のめりで聞いてくる2人に対して、サキも前のめりで2人に聞く。
サトミ「貴方ねぇ、喋るようになったのは良いけど、まどっろこしいのよ!主語を言いなさい!主語を!何を飲むんですの?(笑)」
サトミが言葉を強く言いながらも笑う。
オウタ「たしかに(笑)そんな会話の仕方じゃあ、これから嫌がられるぞ?(笑)なんも言ってないに等しいからな」
オウタも、やっぱり笑う。
何がそんなに楽しいのか、サキが笑いながら話すと、2人も笑い始める。
3日目で余裕が出て来た証拠だろうか?いや、今1度思い出せば、トキノがわちゃちゃ話してる時には、みんなも笑っていた。
その笑いは、『その時の面白さ』だった気がする。
でも、なんだろうか?サキとの会話からの笑いは、無限の可能性?未来への期待?
今日ばかり見ていた、今日どうしたらいいか、そんな不安や不満を吹っ飛ばし、『明日や次への期待』が『心から湧いてくる』。なんで?
オウタとサトミは解らない。だけど、なんか今、とても楽しいんだ。
サキ「私が飲みたいのはねー?こどものビィィィィル!」
サトミ「ビールですってぇ!?」
オウタ「はぁぁ~?」
ーーーステージ4の意味を知る2人、サキが『与えた情報』がどう影響するのかーーー
シゲ「明日は登山の日らしい」
コウタ「なんか、しんどいだけって感じだよなー」
トキノ「ふふっ、じゃあ明日は17時までキャンプ場で待機しちゃう?」
シゲ「んーーーーー、それはそれで暇そう(笑)」
コウタ「たしかに、せっかくのイベントを逃す手は無い気もするよなー」
トキノ「面倒くさい修学旅行気分だネ」




