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トキノの回想 未完成の愛

RQが来ない。


そう理解したトキノがその後にどう行動したのか、それらは記録に残っていなかった。




RQ「『勝者に栄光を。敗者に成長を』」


その言葉をトキノが聞いた時、下着姿で、付着していた血を湖で洗い流して、制服を絞っている最中だった。



トキノ「RQ!呼んでも全然こなかったじゃん!なにしてたの?」


RQに向かって半切れで声を放つ。


RQ「もうしわけありません。出るタイミングでは無いと勝手に判断してしまいました」


少し頭を下げて謝罪するRQ。



トキノ「出るタイミングぅ~?もう、そんなのどうでも良いけど、シゲとコウタ!治療してくれるよねッ?」


RQ「当然です、今から1時間後に目を覚ます手筈となっております」



トキノ「体食べられちゃって、もう無いんだけど、いけるの?」



昨日、サキがイヌ戦で死んだって聞いていたけど、それでも聞いておきたい質問だった。



RQ「問題ありません。ここは『絵本』の中なので、なんでもアリです」



トキノ「不思議だねー。まっいっか。あと、制服の換えが欲しい!絞ったけど、やっぱり嫌かな」


RQ「こちらに用意しております」



トキノ「はっや!よしよし、あと、こういうの頼んで良いか分からないんだけど・・・」


そう言って周りをグルっと見渡し。



トキノ「ステージを綺麗にしてもらえるかな?」



血、血、血・・・サメを引きずったであろう血の跡・・・。



RQ「了解しました」




【トキノの『瞳』の文字は『不幸』になっていた】



それから、トキノは綺麗になったステージ上で、湖に足をいれて地面にごろんと寝転がり、鼻歌を歌っていた。



トキノ「~~~♪」



そろそろ変わるべきなのかもしれない。出会ってまだ2か月程しか経ってないけど。



きっと、今変わらないと、シゲとコウタはずっと『不満』を抱えたまま生活する事になるだろう。



『満たされている』私と違って。2人は違う。与えているけど、伝わらない。



『幸せなんて存在しない』に書かれている歌詞とそっくりな気がする。



2人は私が与えているものに気づいていない。





あたりまえだった、だけど今。少し、少しだけ『理解した』。


今の私の『目』は、たぶん、きっと。



『小説やマンガを読んでいる』時の『サキの目』に似ている!


『ミリタリー系の話』をしている時の『シゲの目』に似ている!


『医学の話』をしている時の『コウタの目』に似ている!




ステージ3から『得られるモノ』かどうかは分からないけど、私は今『ホワイトボックス』の『中身』を理解した気がする!




既に手に入れた『鍵』を太陽にかざしながら、とある日の会話を思い出した。



ーーーーー




シゲ「なあトキノ。なんでアンチコメに返信するんだよ?」


コウタ「それ!俺も気になってた。俗にいう指示厨?ってヤツのコメントにも律儀に返信してる時あるよな」



スマホの画面をぽちぽちと押して、今話題にあがっていたコメントへの返信をしている最中をしているベストタイミングで聞いてきた。



トキノ「・・・」



スマホから顔をあげ、シゲとコウタを交互に見る。


なんで?そんな事聞けるの?


だって・・・それってさー。




バッ!と勢いよくイスから立ち上がり、その勢いのせいでイスが後ろに倒れるが無視する。


2人の後ろに回り込み、2人の頭にポンッっと手を置くと。




トキノ「そこまでチェックしてくれるなんて・・・優しぃぃぃねぇぇぇ!ありがとうね!」


2人の髪をわしゃわしゃする。



シゲ「ちょ、わしゃわしゃすんな!セットが台無しになるだろ!?」


と言いながらも笑っている。



コウタは何も言わず、なんでテンション上がってんだ?と半笑い状態に。



シゲ「もー!質問に答えろってー」




トキノ「そっかー、2人は私が返信してる人のコメントがアンチとか批判コメだと思ったんだね」



コウタ「誰がどう読んでも批判コメだろ、『ダンス動画以外出すな』『歌ってみたなんかより、前回投稿してたミリタリー系の続きだしてくれ』


コウタ「な?アンチだろ?」




シゲ「スルーした方が良いぞ?そいつら構うより、良いコメントしてくれてる人に対して返信した方が絶対に登録者も増えると思うぞ?」



トキノが、んーっとアゴに手をあてて少し考えると。


トキノ「・・・私のチャンネルのモットーは『いつもの日常にちょっとした楽しみを』なんだよ?」



シゲ「おう、そうだな。動画の最初にいつも言ってるもんな」



コウタ「せっかく提供してる楽しみに文句言うとか最低だろ」



あっ、えっと。そうじゃなんだよねー・・・と改めて考えながら。話始める。


トキノ「んー、どう言えばいいかなー。順番に話していくよ?」





私の動画一覧ページがあるでしょ?私の考え方なんだけど、SNSって、『寿司屋』だと思ってるんだ。


そう『寿司屋』!それも回転しちゃう『寿司屋』だよ!回転しない『寿司屋』は高級だし、私が提供している『寿司屋』じゃないと思ってね。



それでね、動画投稿者によっては『ダンス』だけの動画。『歌』だけの動画。


『ゲーム実況』だけの動画。そういった『一種類』の『ネタ』を流してる感じなの!


コレが高級の『寿司屋』!



でもね、私達が投稿してる動画って『いろんなネタ』でしょ?


だから、『ダンス』から私達を知った人もいれば、『ミリタリー』の動画から私達の事を好きになった人がいるわけでしょ?



『登録者』は、どの動画から好きになってくれたのか私達には分からないんだよね。



だからね。2人がねアンチとか批判コメって言ってる人達は、もしかしたら『歌ってみた』を投稿してくれる『投稿者』だと思ってた人だろうし


『ミリタリー』関係の動画を今後出してくれると思ってる人の可能性があるんだよ?




だからきっと。強いコメントになっちゃうんだと思うんだよね。



私達が『提供するネタ』がいつだって受け入れられるハズ無いんだよきっと。


だから、可能な限り『モットー』だけでも知ってもらおうと、返信したいと思ってるんだよね。




シゲ「・・・寿司屋ねぇ」


コウタ「でも、返信までするかねぇ~」



2人は、渋い顔で考えこんだ。



トキノ「ねね、サキはどう思う?」



ラノベ小説を読んでいるフリをして、トキノの話を聞いていたサキに質問を投げかける。


読んでいるフリをしている事がバレているくらいには、お互いを知れている証拠だろう。



サキ「ぇ・・・えっと・・・その、考えは凄い・・・と思う・・・けど・・・・普通は無理」



どもりながらも、ちゃんと返答するサキ。



トキノ「そっか、その小説読み終えたら感想聞かせてね!サキ!」



サキ「ぇ・・・ぁ・・・うん」



トキノ「お嬢とオウタはどう思う!?」




サトミとオウタは部活らしくボードゲームで遊んでいた。



サトミ「ちょっとまって、メモするから!順番!順番教えて!」


机から乗り出し。ポケットからメモを取り出して、オウタに詰め寄る。



オウタ「ちょちょ、落ち着けって、つーか俺は負けたんだよ!なのになんで俺のカード購入の順番が知りたいんだよ」



サトミ「勝ちの手順と負けの手順、両方知ってた方が勝率は上がりますでしょ?」



オウタ「ただのボードゲームだぞ?そんなに熱くなるなよ・・・」



そんな2人を見てトキノが腰に両手を当てて。



トキノ「もぉ!私の話聞いて無かったの?」



と、ぷんぷん怒りながらトキノはボードゲームをやってる2人の机の方へ移動する。



サトミ「聞いてましたわよ!わたくしからすれば、動画を見て楽しむ感覚がよく分かりませんわ!」


投げやりに答えるサトミ。



オウタ「そもそも投稿動画って映画とかアニメみたいなもんだろ?感想は人それぞれなんだから」


オウタ「コメントっていう感想に返事する必要無いだろ」



トキノ「んー。SNSへの投稿って映画とかの『鑑賞』よりも、『共有』って感覚が強い気がするけど・・・」


トキノ「ってか、お嬢!私の動画見てくれてないのー!?」



またも、サトミとトキノの絡みが始まった。


ーーー




湖ステージ  サメvsトキノ  トキノが勝利

RQ「明日はキャンプ編です」


RQ「そろそろ飽きてきましたか?残念な事に第4レースはもっと退屈な時間になるかもしれません」


RQ「でも、とても大切な回なのです。最後の『ホワイトボックス争奪戦』までもう少し・・・」


RQ「みなさんにも楽しんでもらえると幸いです」

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