3日目 トキノ達の出発!
昨日の疲れのせいで、3人は泥のように眠ってしまい起床したのは10時頃だった。
だが。テントの前にいるのはコウタとシゲの2人だけだった。
シゲ「なぁコウタ、なんで女子ってこんなに『準備』に時間がかかるんだ?」
コウタ「俺に聞くなよ、俺も男だからしらないって」そう言ってクックックと笑う。
トキノは起きるなりRQにお願いして、キレイな化粧室を用意してもらい、中に入ったきり全然出てこない状態だった。
キャンプ場にテント、噴水、簡易トイレがある中で化粧室だけ都会っぽくて、異様な景色が2人の前にあった。
コウタ「昨日は朝早めに起きてて『準備』してたのかもな、そう考えると女子ってかなり努力してるよな」
シゲ「それに比べて男は、何もしなくていいから楽だよなー」
いくら待っても出てこないので。先に朝食を食べる事にしてRQを呼ぶ。急に出て来る事にも2人は慣れてきたようだ。
コウタとシゲは『パン』を注文して袋に詰めてもらった、ソレを受け取る。ふっと消える事を確認したが、その事にツッコム事はもう無かった。
パンを梱包されているビニールをビリッと破り、2人で食べ始める。
もぐもぐと咀嚼しながらコウタが話始める。
コウタ「でも以外だな、シゲは朝から肌のケアとかしてる系の人かと思ってたけど」
シゲ「その焼きそばパン美味そうだな・・・え?なんで?」
コウタ「だって、お前普通にイケメンだし。コレ、めちゃ美味いぞ。ほら」
肌が白いし、サキと違ってニキビも無い。ヒゲも出にくい系の男子なのか2日経っても生えていなかった。
コウタ(いや、俺も生えてないから、絵本の中ではヒゲは関係ないか)
コウタは自分が食べていたパンを3分の1だけちぎり、シゲに渡す。
シゲ「えっ?マジ?俺イケメン?野郎に言われても嬉しくないけど、自信は湧くねー(笑)、おっありがとっ」
コウタからパンを受け取り、1口で食べる。
シゲ「うんめぇー!ほい、これカレーパン」
シゲも3分の1を千切り、コウタに渡す。
コウタ「ないすぅー。ってかマジかよ。一応保湿とかしている身として羨ましいわぁー」
シゲ「えっ?保湿とかしてんの?化粧とかするタイプだったのか・・・知らなかった」
コウタ「男でも化粧とかする時代だろ?普通じゃん」
シゲ「まぁそうなんだけどさ。俺は必要になった事がないから、ごく一部の人だけだと思ってたんだよな・・・その一部がコウタだったか」
そんな話をしていると。
化粧室から出て来たトキノが2人を見て。
トキノ「あぁぁぁぁぁああ!2人で先に食べてるぅぅぅー!待っててよぉー!さいってー!」
そう叫んだのだ。その言葉に2人は(やっぱり待った方が良かったよなー)と内心思いながら。
コウタ「ご、ごめんって!」
シゲ「ごめんごめん(笑)」
そう謝った。
ーーーー
3人がワイワイしながら朝食をとり。『第3ステージ』の看板に着いた時には昼を回っていた。
太陽の位置が真上にあるにも関わらず、相変わらず暑さは感じない。
トキノは「昨日みたいに事になったら、私も戦えるように用意したんだー」とリュックを背負っていた。
背負い慣れていないのか、中にがあまり入っていないからか、肩からズレるので頻繁に背負い直していた。
ボートの上に居るときぐらいは下ろせば良いのに・・・と考えたコウタだが、結局言わなかった。
トキノ「今回の『ステージ』は楽だったらいいのになぁー」
シゲ「大丈夫だろ、俺もコウタもいるし。昨日よりはスムーズに終わると思うぞ?」
コウタ「えっと?」
第3ステージ トランスペアレント アニマルズ
以下のステージ内にいる動物から鍵を入手して、ボートで第三キャンプ場へと向かえ!
この地図から選ぶのか。『湖ステージ』や『沼ステージ』、『花園ステージ』
コウタ「色々あるけど、どこに向かう?」
コウタはドコに進むか予想できたが、あえて2人に聞いた。
その質問に食い気味に答えたのは当然のようにトキノだった。
トキノ「そりゃあ『花園ステージ』でしょ!絶対映える!」
そんな分かりきった答えを聞いて2人は笑いながら言った。
シゲ 「言うと思った」
コウタ「ですよねー」
操縦席に乗っていたシゲがアクセルを踏み、ステージ3『花園ステージ』へと向かっていった。
だが、3人は『花園ステージ』に入る前で別のステージに変更する事になる。
ーーーー
視界が花いっぱいになる。その花を潰さないようにボートから降りて、ステージ3までの歩ける道を3人で歩く。
季節なんか我関せず。土壌の違いすら関係なんてないのだろう。
桜。ヒマワリ。モミジ。ポインセチアという王道を抑える花がそこら中に咲いている。
そういった、王道の花以外の名前を知らないながらも、写真をパシャパシャと撮りながら。花の咲いていない道を進むと。
桜やモミジなど大きな木が少なくなり、足の踏み場が無くなる所まで進む。
『花園ステージ』はココだろう。そう直感で思わせる場所だった。
目の前に一杯の花が映った・・・と同時に
『浮いている死体』を目撃した。
シゲ「・・・」
シゲは即座に能力を発動しAK47に似た銃を構える。
コウタ「・・・アレ」
トキノ「アレ・・・キャバ嬢・・・だよね」
コウタ(なんだ?なんで浮いているんだ?あの巨体を『魅了』できるキャバ嬢が負ける理由なんてあるのか?)
コウタはキャバ嬢が『魅了』できない敵ってどんな敵なのかを考えていた。
先に来ていたのであろうキャバ嬢が『宙に浮いた状態で死んでいた』。
ボタボタと体から血が流れ落ちている事と、首が曲がってはいけない方向に曲がっている事から死んでいると判断できた。
静観していた時間は、それほど無かったハズだが。次の瞬間。死体がグシャグシャと更に曲がり、丸くされていく。そのせいで原型が分からなくなってしまった。
もし3人の内誰かがボタボタと流れていた血が、下にある花に落ちていない事に気づいていれば、『透明動物』との戦闘中だと予想できたかもしれない。
トキノ「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
トキノ(駄目だ。また死体だ。まだ慣れない。動けない)
心拍数が上がり、体が強張る。昨日と違って気を逸らすモノがないから死体に釘付けになってしまっていた。
トキノの様子にすぐに気が付き、シゲが率先して言葉を放つ。
シゲ「ここから離れるぞ!トキノ!見るな!隣の『湖のステージ』に行こう!」
シゲ「コウタ!敵からの攻撃があるかもしれない、俺が殿を務める!トキノを連れて先導してくれ!」
シゲの声の大きさは、コウタとトキノの思考を逸らすに十二分だった。実際に2人の視線をシゲ自身に向ける事で、トキノの気を少しだけ逸らす事ができたうえに。コウタの行動を指示する事ができたのだから。
だから、3人は『湖のステージ』へと移動する事になる。




